(ピアノマンはどこへ行くのか(前編)の続き)
愛のサーカス
別役実の「愛のサーカス」という童話をご存じだろうか。中学校の教科書で読んだ人が多いかも知れない。少年と象と街の人々との話だ。
物語は、ある港街に少年と象がやってくるところから始まる。その少年は話すことができず、ただ寂しそうに象に寄り添いぼんやりと海を眺めているのだった。そんな少年に、町の人は心を尽くして世話をしていく。やがて少年が人々に心を開いていくうちに、街全体が優しさに満ちていく。実は、人々を優しい気持ちにし、感動を与えることがサーカスの興行であったのだ……。
([ 本紹介 ] 山猫理髪店 <2004年12月号>:龍谷大学新聞社)