HTC Touch Diamond 発売前の試用雑感

2008年10月6日

CEATEC JAPAN の Microsoft ブースに行ったところ、ひっそりと HTC Touch Diamond (しかもSIMあり)が置かれているのに気がついた。これ幸いとばかりに20分ほどいじり倒したので雑感をレポートする。
ブースでは誰もこの端末の存在に気がついていなくて苦笑い。前日のヨドバシカメラでは実機公開初日のためかなかなか触れなかったというのに。
写真撮影禁止だったので残念ながら画像や映像はなし。イメージ画像でお楽しみ下さい。

全体的な印象

スマートフォンなんだけれど、「携帯電話」にかなり歩み寄ったスマートフォン。ベースはWindows Mobileながら一般的な携帯電話に近づけるための工夫があちこちにある。そのためiPhoneと比べるのは間違っている。…間違ってはいるのだが、ハードウェア的にかなり影響を受けてしまったがために比較されてしまうという不幸な存在になりそう。何より画面切替の「ぎゅーん」「うにょーん」「ぽん」という感じを期待してはいけない。とはいえ、できることは同じ(というか、それ以上)なので、携帯電話の代替としてiPhoneに期待していたけれどあそこまで割り切る気にはなれずに躊躇してしまった人は検討の価値あり。
使った実感では、もっさりとは聞いていたが思ったほどイライラしなかった。一般的な携帯電話としては許容範囲内。動作が遅いというより指の動きをたまに認識しなかったり、感知からアクションまで一瞬の開きがあることで微妙に時間がかかり、少しストレスに感じる。

ブラウザ

Opera 9.5を搭載。過去の経験(EM・ONE標準搭載のOpera8.65、現在はEMONSTERでOpera9.5ベータ使用中)からするとOperaは起動が遅いのだが、Touch Diamondではそれほど気にならない。IEの起動と同じくらい早く、わりと好印象。
操作感は現在公開されているOpera9.5ベータ版と同様。全体イメージが縮小表示されるので読みたいところをダブルタップして拡大。もう一度ダブルタップで縮小。なぞればスクロール、はじくようになぞれば力加減によって勢いよくスクロールされる。iPhoneのSafariのように二本の指でつまんで拡大・縮小はできない。その代わり、画面下部にある円形パッド(ナビゲーションコントロール)の縁をぐるりとなでればじわじわと拡大・縮小ができる。これは気持ちいい。
ベータ版同様にメニューバーやアドレスバー、スクロールバーは使わないときは勝手に消えてくれる。つまり基本的に全画面表示。加速度センサーが付いているので端末を横に倒せば横向き表示に変わる。
Opera9.5ベータ版と違うのはアイコンがさらに洗練された感じ(私の主観だが)に変わっているところ。コンフィグ画面は時間の都合で確認できなかった。

メール

メールのプレビューを一通一通3D表示で確認できるが、一覧性は悪い。
文字入力時はソフトウェアキーボードが表示される。キーボードのレイアウトは携帯電話のボタンと同じテンキー式で、あかさたなが並んだボタンを連打することでひらがなを入力する。ただし、最近の携帯電話のように同じ行のひらがな入力時に自動的に確定してくれない(例えば、あき→「あ」「か」「か」で良いが、あい→「あ」「→」「あ」「あ」と入力する必要がある)。それから、iPhoneのようにボタンを上下左右にスライドしてひらがな入力できたりはしない。一般的な携帯電話と同じような連打方式。iPhone風のQWERTYレイアウトキーボードは無いので、英字入力時もテンキーを連打する必要がある。
予測変換機能が付いている。性能は一般的な携帯電話と変わらない印象。連文節変換ができるかどうかは試してないが、携帯電話として売ることを念頭に置いているなら当然出来るだろう。
文字は綺麗に見えるが、おそらくフォントの問題ではなく単に解像度が高いからだろう。iPhoneのフォントの美しさとアンチエイリアス処理の優秀さとは比較できないが、携帯電話として見れば素晴らしい出来だ。

電話帳

並んだ顔写真をめくるように連絡先を選択できる。
個人的には電話として使う気がないので興味なし。

イメージビューア

プレビュー画面は3D表示。常に左右に傾いた状態で表示される。紙の写真のメタファーのためだろう。ダブルタップで全画面表示。左から右(または右から左)へ画面をなぞれば次のイメージが表示される。加速度センサーが有効なので、端末を横に倒すと画像も横向きになる。ムービーの場合も同様。このあたりはiPhoneと同じ。
画面上で円を描くとその場所が拡大される。てっきり指を回せば回すほどじわじわ拡大されると思い込んでいたのだが、円が描き終わるまでは認識されない。単なるマウスジェスチャーと考えればよいだろう。

音楽プレイヤー

ジャケット画像が3Dで表示される。解像度が高いため非常に美しい。立ち上げるとすぐ音楽が流れ始める。上から下(または下から上)へ画面をなぞれば次の曲に切り替わる。めくるような感じではなく、なぞる操作が終わるまでは認識されない。MP3再生はいうまでもなくWMAもWAVも再生可能。

YouTubeプレイヤー

まさにYouTube専用ブラウザ。再生時は全画面表示で、画面をタップすることで停止ボタンなどが表示される。iPhoneのYouTubeアプリと操作感もほぼ一緒。
通信回線が高速なこともあり再生にストレスはない。ただ加速度センサーが無効なので、端末を横にしても表示は切り替わらない。

カメラ

320万画素で申し分なし。
撮った写真をその場でwebにアップする実演デモを見せてもらった。Windows Live IDを設定していれば撮ってすぐにビューワのメニューから「スペースへ送信」を選ぶことで勝手にWindows Liveスペースにアップロードしてくれる。手元のEMONSTERにも同じ機能があったので、Windows Mobile 6.1標準なのだろう。

ランチャー

ボタンが横一列に並んでいて、左右になぞっていけば選択されたボタンが拡大される(Mac OSのドックのようなイメージ)。ただ、ランチャーの動きが面白いからと調子に乗ってタスクを切り替えまくっていると「実行中のタスク一覧」がすごいことになる。タスクによってソフトが起動するものと起動が必要ないものとが混在していて、起動されたソフトが最小化されてどんどん積もっていくからだ。このへんはかなり違和感を感じる。表面的にはタスクを「切り替える」だけのように見せながら、実は裏でソフトを起動したりしなかったり最小化させたりしているのが気持ち悪い。
たとえばEMONSTERに搭載されているHTCのランチャーはソフトウェア起動と時刻表示や天気予報表示がはっきり別になっていて、ソフトを起動するかどうかがはっきり分かるようになっている。これがTouch Diamondだと時刻や天気を「表示するだけ」のボタンとソフトウェア起動ボタンが同列に扱われているのでこの違和感につながっているのだと思う。

ハードウェア

ボタンは全部で7つ。画面と同じ面には「発話」「終話」「Home」「Back」ボタンの4つ。上側面に電源ボタンが1つ。左側面にボリュームコントロールボタンが2つ。ボリュームコントロールは一般的な携帯電話を意識して付けたのだろうが、意外と有難い。
画面下の4つのボタンは段差がないのでタッチセンサー式のように思いきや、ちゃんとプッシュ感のあるハードウェアボタン。「カチッ」ではなく「パコッ」とした感じがする。このほかに、正面には円形のパッド(ナビゲーションコントロール)が付いている。ナビゲーションコントロールはタッチセンサー式のようで、なぞるだけで認識される。
画面のタッチセンサーは感圧式。静電容量式のiPhoneと違って爪やスタイラスペンでも操作が可能。ただし感圧式の限界というか、2本指で同時に触るとうまく認識しない。つまりiPhoneでできるような2本指でつまむジェスチャーができない。
軽さにはかなり驚かされた。いま使っている最軽量3G携帯のD705iμとずっしり感が変わらない(D705iμは82g、Touch Diamondは98g)。EMONSTERは190gだからその約半分だ。ハードウェアキーボードを搭載しないとこんなにも軽くなるのか。
外部メモリ非対応は惜しい。最近のメモリカードの容量拡大ペースには目を見張るものがあるので、後からでも増設できる余地を残しておいて欲しかった。おそらく重量100g以下を達成するために最後に泣く泣く切り捨てられた機能なのだろう。

その他

Windows Mobile標準のエクスプローラは指でなぞってスクロールできるのだが、誤感知が多いので現状あまり使っていない。しかしTouch Diamondだと細かいチューニングが入っているようで、少し触った感じでは誤動作することはなかった。Microsoftブースの中の人によると、Touch Diamondでは指での操作を意識して各所にそういったチューニングを入れているようで同じOSを使った既存機種とは操作感が違っているらしい。
あとは、GoogleマップがうまくGPSと連動してくれれば有難い(EMONSTERではよく失敗する)。Googleマップでなくても、NAVITIMEがEMnet以外からでも使えると有難い(EMONSTERでは入ってはいるものの警告が出て使えない)。

試用を終えてみて

買おうとは思っているのだが、いつ買うかは様子を見ることにする。それよりも、手元にあるEMONSTERがもっと使いこなせそうだということに気がついたのでもうしばらくいろいろと遊んでみるとしよう。

参考

HTC Touch Diamond – HTC
Touch Diamond (S21HT) – EMOBILE

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