Google Maps から消えてしまった島

2007年8月25日

Google Maps が簡単に貼り付けられるようになったというので試しにやってみた。ついでなので一ネタ書いておく。

この2つの島はベーリング海峡のちょうど真ん中、ロシアとアメリカの国境上に浮かぶ島だ。左側が大ダイオミード島(ロシア領)、右側が小ダイオミード諸島(アメリカ領)。アラスカがロシアからアメリカに売却された時に二島の間が国境で分断されてしまい、あまつさえそれが日付変更線(地図中央のライン)になってしまったという不幸な島だ。
ダイオミード諸島 – Wikipedia
ところが、同じGoogle Mapsでまったく同じ場所を示した地図を見てほしい。大ダイオミード島の方だけが見事に消えてしまっている。
A Map of Diomede Islands
(本家表示のスクリーンショット:クリックすると拡大)
ちなみに航空写真にはきちんと映っている。
A Satellite Picture of Diomede Islands
(本家表示(航空写真)のスクリーンショット:クリックすると拡大)
島が丸ごと消えているのはロシア側の地図の精度が悪いためかもしれないが、貼り付け表示時と本家表示時で内容が違うというのはどういうことだろうか。貼り付け表示用と本家表示用で地図のリソースが分かれていて、片方の最新化が遅れているのだろうか。
似たような発見例を少し探してみたが見つからなかった。他に発見した人がいたら教えてもらいたい。

関連

Google マップにブロガー向けの新機能–HTMLタグの記述でブログなどへ張り付け可能に – CNET Japan
Google Maps が簡単に貼り付けられるようになった – POP*POP
地図を手軽に自分のサイトやブログに貼り付けられるようになった Google Maps の埋め込み地図機能 – GOING MY WAY
ダイオミード諸島 – Wikipedia

2ヶ月でわかった、自分のブログ記事を人に読ませる方法

2007年8月19日

要点だけ先に書いておく。
・トラックバックをうまく使う
・人を動揺させるようなタイトルを付ける
・説得力があるように見せかける

2ヶ月でわかるまでの経緯

DoCoMo 2.0をこき下ろしてる人は見事に釣られすぎ(2007/6/5) という6月に書いたエントリの読者数が最近かなり多い。
このサイトはもともと技術記事(このへん)などを検索エンジン経由で見に来る人が多いのだが、今回のドコモ記事はトラックバックとページ内リンクを辿ってくる人が圧倒的に多い。月間18000PV程度の弱小サイトで、一記事の月間アクセスが540。これは大きい。
実はこれと同じく特定記事が伸びたことは2年前にもあって、何でもかんでもiPodの広告風シルエットにしてみる(2005/5/25) という記事を書いたときは30以上の記事を参考記事として取り上げて全部にトラックバックを送った。ほとんどスパムのような話だが半分実験の意味もあった。そして結果は大成功。記事のアクセスは桁違いに伸び、2年経った今でもトラックバックを辿ってくる人は絶えていない。(もちろん検索エンジンを辿ってくる人も相当数いる)
ただ、今回のドコモ記事はスパムのようにトラックバックを送っていない。たった1カ所、とあるニュースサイトに送っただけだ。なのにこのアクセス。今回の事例をよく考えると冒頭に述べた3点に集約される。

まずは存在を認知されること

人に伝えたいような記事を書いたからには、最低でも1人に読んでもらわないと意味がない。読んだ誰かがその記事をもとに何かのアクションを取ったり、インスピレーションが働いたりすることまで考えないといけない。友人が読んでくれるならそれでいい。見ず知らずの人にちゃんと読んでもらうとなお良い。見ず知らずの人に評価されるためには、読んでもらう人は多ければ多いほど良い。だからまず一般に認知されないといけない。
スパム業者はこれで成功している。膨大なメッセージを送り、何千人に一人から反応があれば十分に儲かる。つまり九百九十人から疎まれてもその一人に認知させる価値があるということだ。あなたのブログがそこまで疎まれてもいいかどうかは知らないが、PRはやらないよりやった方が良い。チラシの裏に書いているつもりがないのなら、控えめにでもいいから外と繋がろうとした方がいい。トラックバックはそれを助けてくれる。

人は動揺するとクリックしてしまう

はてなダイアリーのホットエントリを見るといい。本屋に行って自己啓発書のコーナーにあるタイトルを眺めてみるといい。新聞のテレビ欄のバラエティ番組やワイドショーの煽り文を見てみるといい。衝撃的なタイトルであればあるほど人は「いったいどういうことか!」と知りたくなる。挑発する、驚かせる、悲しませる、笑わせる、感動させる…読んだ瞬間、人に何らかの感情を抱かせないとクリックしてはもらえない。常識を否定したり、皆が身に覚えのあることを指摘したり、時代の流れに逆らったり、バカなふりをしたり、ニヤリとさせるジョークを使ったり、方法はいくらでもある。
私の知る限りでは高木さんは神。バカのふりをすることと、一瞬で頭に血を上らせるような文章を書くことについては天下一品。プロの釣り師は投下する燃料を惜しまないのだ。彼の問題提起は論争を巻き起こし、しばしばネタばらしのような解説をし、読者が振り回されている間にさっさと次の話題にうつってしまう。あなたのブログが多くの人に叩かれてもいいかどうかは知らないが、タイトルを見た人に「そんなわけあるか」とか「こいつは何を考えているんだ」とか思わせれば読んでもらう確率は格段に上がる。第二段階の「文章に目を通してもらう」まで行き着くまでには、この壁を越える必要がある。

ハッタリ、ハッタリ、ハッタリ

文章を読んでもらえたら「ふむふむ、そういうことか」と一度は納得させないと評価されない。あえて投げっぱなしにして考えさせるという手もあるが、自分の言い分が書かれていないと相手にされないし、納得できないようなファンタジー思考しか書かれていなければこれも相手にされない。読み進めるうちに何か一つ読者の頭に引っ掛からせないと読者の手は反射的にページを閉じてしまう。そして記憶に残らない。
これについては文章の組み立て方が左右されるが、そのあたりは解説すると細かくなるのでそういったノウハウ記事を参照してほしい。それよりここで言いたいのはそもそもの素材の方で、伝えたい内容に一本筋が通っていて、しかもそれが新しい知識や視点を提供するようなものじゃないと意味がないということ。既に知ってることを一方的にベラベラ述べられることを想像して欲しい。私なら即ページを閉じる。
書く内容に自信がなければ、多少のハッタリで盛り上げるのも良い。嘘を書くことは文章の価値がなくなるのでやってはいけないが、意見を多少過激にしたり、自信を誇示したり、語調をより効果的なニュアンスにすることは大いにやるべきだ。事実を伝えるのと違って、自分の意見はいくらでも曲げて書いて良い。なぜなら、事実は事実であるかどうかを皆が気にするが、意見はあなたがその意見を持っているかどうか誰も気にしないからだ。もしあなたが自分で思ってもいないことを書き付けたとしても、それが誰かの目に留まりさえすれば文章を書いた意味がある。あなたが自分の意見を反映していないような記事を書いてもいいと思ってるかどうかは知らないが、人に評価されるというのはピエロになるということでもある。
賢い読者ならもうお分かりだろう。この記事自体がハッタリだ。自分の記事の読者数が増えて、それがたまたまニュースサイトにトラックバックしていて、しかも運の良いことにしばらくニュースサイトのサイドバー上にリンクが表示され続けたためにクリック数が上がったにすぎない。それだけの話を適当に3つの要素に仕立て上げて話を膨らませているだけだ。それ以上の情報を私は何一つ持ってない。
たしかに何一つ持っていない。が、これを読んだあなたが何を感じ、何をするのかが大事だと私は考えている。

要点だけ押さえて、実行は控えめに

ここに書いたのは、人に自分の書いた記事を読ませ、あわよくば評価されるための自分的メモだ。私はかねがね、ネット上で情報発信することはピエロになることと同じだと思っているので、このような極端な文章になってしまった。
さて、冒頭に取り上げたドコモ記事だが、ついにWikipediaからリンクが張られてそっちからのアクセスが急増する事態になってしまった。(ちなみに自作自演ではないし、関係者の犯行でもない)
自作自演で思い出したが、Wikipediaにしろトラックバックにしろ挑発的なタイトルにしろ、今の状態ではやりたい放題やれるということに気付いてしまった。Wikipediaに勝手に自分の記事を貼り付けることもできるし、トラックバックスパムを送りつけることもできるし、挑発的なタイトルだけ書いておいて中身を用意しないという外道技もできる。こういったものは既にアフィリエイト界隈などで問題になっているのだが、まあ問題があるにせよ、それでも人間がついついクリックしてしまうことには変わりがないのだから、その王道を押さえるとどうなるかということぐらいは理解しておいた方が良いだろう。

蛇足

正直なところWikipediaに書かれるとは思わなかったが、もし次に何か気合いの入った記事を書くときはさらに上を目指してみたいと思う。日々是実験。

ネクストクリック理論

2007年8月14日

勝手にキャッチーな言葉を編み出してみるテスト。
ウェブの世界は基本的に「流し読み」の世界です。次から次へとクリックしてページを開き、膨大な文章の山から面白そうなものだけに目を通す。本のように連続的な世界をゆっくり辿っていくのではなくて、雑誌をぱらぱらと立ち読みするようなイメージ。だから文章が目に入ってはいてもあまり読んだ気にはならないし、一通りネット巡回してからふと「今日は結局何が面白かったんだっけ?」と思い出そうとしても記憶に残っていなかったりします。極端な話ですが。
ウェブの世界は全体として、文章をじっくり読むようにはできていないんですね。
ところが、ウェブの文章でも環境が一つ変わるだけでたちどころにじっくり読んでしまうようになります。それはページの読み込み速度が遅い時です。
私は通勤時間中の電車の中でS01SHを使ってウェブを楽しんだりしてるのですが、PC環境からすればイライラするほどページの読み込みが遅いんですね。WindowsMobileの通信機能がどうしようもなく不安定だったりハードウェア自体の処理限界だったり様々な理由があるわけですが、まあとにかく遅いわけです。
どれくらい遅いかというと、リンクをクリックしてから表示が完了するまでに数秒~十数秒ほど(※)。リンクをクリックするにも判断と覚悟が必要です。さらに調子が悪ければ1分の無応答は当たり前、運が悪いとフリーズします。
(※列車内無線LAN+最高130km/h移動+IE環境の場合。体感値)
このようにリンク一つクリックするのに抵抗感があると、どうしても今見えてる文章をじっくり読もうとしてしまうんですね。そして自然に「ページを開いても有用性がある程度保障されているサイト」しか見なくなります。最近の私の場合、スラドだったり分裂勘違い君劇場だったりGeekなページだったりします。ニュースサイトやネタサイトよりはどちらかというと読み物系サイトです。
つまりこれは本を読むときの感覚と同じなんですね。雑誌のように簡単にとばし読みできないので読む速度が自然に落ちる。それを考えるとハイパーリンクがどれだけ素晴らしいものかがよく分かります。これほど「次のページ」を開くための抵抗感をなくした(つまり「次の情報」に触れるための敷居を下げた)発明はないでしょう。
さて、ウェブの文章に薄っぺらさを感じている人はぜひとも回線をISDNにするか、OSをWindows3.1にして下さい。ゆっくりとページを開き、じっくり噛みしめながら文章を読むことで別の見方ができるはずです:-p