最近こころ奪われた漫画とアニメ

2008年5月28日

ARIA

(漫画版:全12巻、TVアニメ版第1期:全13話、TVアニメ版第2期:全26話、OVA版:全1話、TVアニメ版第3期:全13話)
2007年度に読んだなかで最高漫画大賞を贈りたい。アニメも2007年度の最高アニメ大賞を贈りたい。これは久々に来た!(涼宮ハルヒの時も同じようなこと言ってるが)
テラフォーミングされて地球と同じ環境になった未来の火星のお話。とはいえ、先進技術とかはあまり出てこずに、ひたすらヴェネチアの町並みとのんびり暮らす人々が出てくる。一話完結の小さなドラマが連なって、未来の水先案内人たちの成長物語になっている。全編に恥ずかしいセリフ(w と美しい風景がこれでもかこれでもかと出てきて、まるで写真集を眺めているよう。アニメーションの音楽も最高に良くて、もう2ヶ月以上ヘビーローテーションで聞いている。(涼宮ハルヒの時も同じようなこと言ってるが)
だめだ、この作品をうまく表現する能力をいまの私は持ち合わせていない。ただ、うつくしい。そして、なごむ。それから、ヴェネチア行きてぇ。よーしパパ火星がテラフォーミング完了するまで1万年と2千年でも長生きして見届けてやるぞー、と。

王立宇宙軍

1987年公開の劇場版アニメ。地球によく似た架空の世界で、人類初の有人ロケット打ち上げを実現するという映画。これを制作するためにガイナックスが作られた。歴史的名作と名高いだけあって、打ち上げ直前に隣国が攻め込んでくる様子など、躍動するシーンはどれも圧巻。遠い異国の感じが不思議に懐かしい感じがして、メカ要素もふんだんにあって、と全体的に宮崎アニメのような感じ。しかし何が一番心揺さぶられるって、24歳の監督とそのほか若手のスタッフで作り上げた作品だということ。まあ、自分が今まさに24歳だからというところが大きいのだろうけども。

鈴木先生

(全11巻)
ある中学校教師を主人公に教育問題を描いたお話。金八先生的に一定の調和と良い話でまとめられるほど現場は単純じゃない、という容赦のない現実がこれでもかと詰め込まれている。そして次から次へと降りかかるクラスの問題、と職場環境の問題とプライベートの問題。うろたえる鈴木先生。思い悩む鈴木先生。翻弄される教師と問題を抱えた何人もの生徒達を見ながら、ページをめくるたびにドキドキが止まらない。これほど心臓がバクバクしながら読み進められる本は岡本太郎の著作とこの漫画ぐらいだ(けっこう狭いな)。
表紙を見れば分かるとおりに絵は好き嫌いが分かれるところだが、人の混乱した表情、激昂した表情、うろたえた表情を見事に描ききっていて、見ているコチラが猛烈に不安をかき立てられる。まさにジェットコースターのようだ。そして、ここで描かれている問題は現実の教師が直面している問題と同じだ。これほどの怪作はない。

砂糖菓子の弾丸は撃ち抜けない

(単行本版、文庫版、漫画版全2巻)
高校生の少女が家庭内暴力の末に切り刻まれて捨てられるだけの話。おわり。
…という感じでライトノベルの軽い感じを生かして、絶望的な環境に生きながらそれを自分で正当化して妄想の世界を作ってしまった少女の物語をただ淡々と描いている。主人公の少女は冷静にそれを見つめて、ひたすら虚無感を述べているだけ。しかし、これほどじわじわとダメージの来る絶望感はない。終盤で少女はあっさりと殺され、ゲームは終わり、主人公の少女はそれを簡単な言葉で締めくくる。全ページにあふれる諦観。希望などどこにも見えない。正常な感情を持った登場人物は生徒の死を知って後悔する担任教師だけで、ほかはみんな異常。でも殺人事件を連日報道するワイドショーばかり見てると、この話も「普通のこと」と思えてくるから不思議。それだけ、作り話のような事件に慣れてしまったと言うことだろうか。
原作の小説版はとっくに読んで絶望済みだけれど、漫画版が出て絵付きでもう一度触れてみると別の絶望感が込み上がってくて新鮮だった。ああ、人の瞳だけでここまで絶望を表現できるのだな、と。

蛇足

二匹目のドジョウを狙ってメイドロボねた。

老人とメイドロボ
短いお話だけど、「メイドロボ」というキーワードから思い起こされるヲタの共通認識をうまく押さえた良作。やはり「自我」と「感情」というテーマ抜きに語ることは出来ない。まるちしかり。まほろさんしかり。ちぃしかり。メカ沢(以降のエントリは省略されました)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です