考えるな、感じるんだ――論理的思考を減らそう

2007年3月26日

論理的思考の放棄 (登 大遊@筑波大学情報学類の SoftEther VPN 日記)
http://d.hatena.ne.jp/softether/20070324#p1
登大遊氏が面白いことを書いてます。彼は一日最低3000行、最高でも1万行という凄まじいペースでプログラミングをします。そのプログラミングのステップを分解すると作業の大部分は論理的思考の入らない感覚的作業でした。だからプログラミングをするのは論理的な作業とは言えないですよ。てな話。
天才が語る「論理的思考」は凡人の考えるそれとは違うのだな、というのがよく分かりました。
彼にとってはおそらくプログラミングに必要な「論理的思考」はただのルーチンワークなのでしょう。自転車の乗り方をいちど覚えてしまえば次からは考えなくても乗れるように、彼にとってはロジックを組み立てることが手足の感覚のように当たり前の存在になっていて、労力も時間もさほど必要としないレベルにまで自動化されている。だから構想や設計といった感覚的なものしか彼の意識上にはなくてこのような極論になったのではないかと推測します。いいですね。無駄なこと一切を無意識が勝手に処理してくれて特に考える必要がないっていうのは。
だから天才の言うことは私たちとは一切関係ないんだよ、という話をする気はありません。無意識の効率的な使い方は天才に学ぶべきと言いたいのです。自転車の乗り方を覚えたとき、それは身体が覚えたのではなく「必要な一連の動作を無意識化で処理できるようになった」だけに過ぎないのです。登氏がプログラムを書くのはおそらく自転車に乗るのと変わらないのでしょう。つまり、考えなくてもペダルはどんどんこげるので、あとはハンドルを右に曲げるか左に曲げるかだけしか考えなくて良い。それは簡単に言えば「慣れ」です。
毎日自動車に乗っていれば、考えなくても運転動作が出来るでしょう。毎日学校に行っていれば、考えなくても目的地に着けるでしょう。毎日マクドナルドで働いていれば、考えなくてもマニュアル文章が口から出てくるでしょう。すべては慣れです。必要動作をことごとく無意識に任せてしまうのが「慣れる」ということです。
ということは、作業に占める「慣れ」の比率を極限まで高めれば登氏のような異常なペースも不可能ではないのですね。まあ言うのは簡単ですけど、退屈な作業があったらそれを退屈なままで終わらせずにさっさとオートメーション化して次へ行け、いつまでも低いレベルの思考をするな、ということです。それを彼は「努力しない」「頭を使わない」という言葉で表現しています。これはよく言われる「優秀なプログラマは面倒くさがり」ということを支持していますね。
さて、私の場合ですが残念ながらプログラミングが得意ではないことに最近気がつきました(作業自体はかなり楽しいんですが生産性が低すぎる)。その一方で文章を書くのはわりとすらすらいけます。5年以上書いているので無意識で片付けられる部分が増えてきたのですね。では文章を書くことにおいてこれ以上無意識に任せられる部分はあるのでしょうかね。テーマと構成だけを決めればあとは考えずにキーボードを叩くだけ、とかそういうレベルになればいいですね。
さて、あなたの目の前にある作業で次に自動化できるところはどこでしょうか。(啓蒙書風に終えてみる)

参考

論理的思考の放棄 – 登大遊のSoftEther VPN日記
論理的思考の放棄2 – 前エントリの追記
 ・登氏のコメント欄にしては珍しく質が高い
論理的でも非論理的でも良い
直感を信じろ、自分を信じろ、好きを貫け、人を褒めろ、人の粗探ししてる暇があったら自分で何かやれ。

She came from apple-shaped planet Korin.

2007年3月22日


「読み逃げ」はダメ? – Slashdot Japan
モヒカン族問題とか、はてな村住人との軋轢とか、「読み逃げ禁止」等のmixi独自ルールの軋轢とか、無断リンク禁止の賛否とか、キリ番踏み逃げ禁止の賛否とか、そういったローカルな対立は「住んでる星が違う」の一言で片付けてしまえばいいと思いますね。
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PASMO定期券にしました

2007年3月19日

今日からPASMOが使えるというので定期券をPASMO対応にしてきました。

夕方頃にいつも定期券更新やってる自動券売機まで行き、従来の時期定期券を突っ込み氏名と生年月日と電話番号を入力してデポジット500円を支払うとPASMOカードが出てきました。PASMO定期券は記名式なので個人情報を登録しないといけないのは知っていたんですが、定期券が持ってる情報とは別に入力させられるんですね。よく分からない。
さあこれで定期券を落としても大丈夫。安心して6ヶ月定期券を買えます。月収を軽く超えるので落としたらシャレになりません。
とはいえ、手元にはまだ使い切ってないパスネットが1枚。約3000円分。Suicaが2枚。同じく約3000円分。この大量の残額がある限りは「一枚でOK」とはいきません。残額の移し替えができればいいのだけどね。PASMO導入で私の通勤パターン(つくば⇔秋葉原間は定期を使い、秋葉原⇔会社間は気分に応じてJR or 地下鉄でルートを変える)の最大の問題点「カードを3枚持たないといけない」が解消される(※)予定ですが、残額を使い切るまではしばらく3枚持ったままになりそうです。
さて今回PASMO開始と同じタイミングでSuicaが子供用に対応。都バスの乗り継ぎ割引にも対応しました。JR東日本がようやくことでんに追いつきましたね。あとは身障者用カードと回数割引があればことでんに勝てますね。(w

関連

PASMO – 公式サイト
Suica と Pasmo と。あと、い~カードも。 – detourist

※解説

<Before>
・つくば⇔秋葉原の定期(磁気)
・秋葉原⇔会社最寄り駅のパスネット
・秋葉原⇔会社最寄り駅のSuica
<After>
・つくば⇔秋葉原の定期(PASMO)

携帯電話、モノとして見るか? サービスとして見るか?

2007年3月6日

いまから40年以上前、梅棹忠夫という人が「モノの価値はモノが持っているのではなく、モノの中にある情報が持っている」ということを発見して情報化社会を予想しました。商品の価値がハードウェアとしての価値とソフトウェアの価値に分かれるという、今となっては当たり前のような話です。でも、こうしてハードとソフトという概念、モノとサービスという概念が一般的なものになっても、やっぱり直感的には理解できなかったりすることが多いのです。
今日は休日だったので買い物に出かけました。いま使っている携帯電話は3年近く使い続けている端末(premini)で、最近になってFOMAで魅力的な端末が出たのでFOMAに変えてもいいかなと考えていました。ドコモショップに行ってお目当てのFOMA端末(D703i)の値段を見て、安かったので変えようかどうしようかと逡巡しつつ端末を触ること10分ほど。
↓その時の思考はこんな感じです。

FOMAにすると電波が入らないかもしれない。でも見やすい大画面でiモードができる。preminiよりちょっと重くなるけど、それでも携帯電話にしては軽い。デザインも最高だし、2chスレでも神認定一歩手前といったところ。電波が入らない問題はデュアルサービスでmovaを併用すればいいかも。そもそもセキュアじゃない2Gを使い続けるのはどうなのか。いやしかし長年親しんだこの端末から乗り換えるのは惜しい。3年かかってようやくpremini使っている仲間を発見した。職場でも大半がFOMAで話のネタにもなる。もう少し待てば社費で3Gが使えるかもしれないし、せっかく安いままの旧料金プランを手放してしまうのもどうなのか。。。。。。

最終的な決断は「機種変更しない」になったのですが、その決め手となったのが「D703iは最薄最軽量でもシルエットがpreminiに比べて大きすぎる →だからpreminiのようなインパクトがない →所有欲が沸かない」ということでした。まあ、これ自体は本当にどうでもいい話なんですが、ここで取り上げたいのはFOMAという「サービス」の選択に端末という「モノ」が大きな影響を与えたということです。
ご存じ携帯電話というものは通話とか通信のサービスを提供するものなんですけど、けっこう端末の魅力も重視されるんですね。用が足りること(サービス)を重視する人と、所有欲やステータスシンボルを重視する人がいる。デジカメもノートパソコンもHDDレコーダーも液晶テレビもそうです。デジタルグッズ全般はそうです。
つまり、所有欲を重視する購買層にとって、デジタルグッズはハードの価値がソフトを含めたモノの購買決定に影響を与えるのです。ワンセグ見ないしワンセグ視聴地域にいなくても、ワンセグ携帯がやたら売れるのと同じです。ワンセグ(≒大画面液晶)というプレミアムを持ちたい人が所有欲を満たすために買うのです。
私の場合、FOMAは通信速度が速いとかパケット料金が安くなるとか音質がいいとか高機能だとか大画面だとか、そういったメリットを「持った感じデカいね」が一蹴したのです。携帯をサービスとして見ている人はどんどんFOMAにするし、モノとして見ている人はどこまでも端末しか見ないのです。
言いたいのは、モノの魅力とサービスの魅力、両方が問われるような商品はモノ重視派とサービス重視派で見方がまったく異なるということです。携帯電話は本来「つながる」サービス提供端末なのでサービス重視派がいるし、アクセサリー代わりに持っていることの価値を重視するモノ重視派もいる。パソコンも同じように二つに分けられますね。役に立つからとパソコンを買ってあれこれ始めるのはサービス派。まずパソコンを買って、それから使い道を考えるのがモノ派。音楽を聴きたいからiPodを買うのがサービス派。iPodを買ってから音楽を聴き始めるのがモノ派。
となると、日本の製造業的な考え方である「良質なものを作れば売れる」という考え方は古くなっているのかもしれませんね。みんなが良質なものを作っているからそれだけでは売れない。ポータブル音楽プレーヤーひとつとっても、音楽を聴きたい人に機能(つまりソフト的な価値)を提供することにかけては各電機メーカーはうまかった。でも、所有欲に訴えかけるような方法(デザインやUIやプロモーション)で「別に音楽を聴きたいわけじゃないけど」な人も開拓したAppleの方が一枚上手でした。やはり所有欲は無視できないものになっているのです。
はてさて、
元の話に戻りますが、携帯電話をモノとして見ている私はおそらく次にあっと言わせるような端末が出てくるまでpreminiを使い続けるのでしょうね。よほどのことがない限り、ずっと私は携帯電話をアクセサリーの一つとしてしか見られない気がします。

iPodのようにみんなが所有欲をかき立てられるような端末って何でしょうね。少なくともiPhoneではないと思いますが。

参考

梅棹忠夫 – Wikipedia
梅棹忠夫 「情報の文明学」 中公文庫 – 論文「情報産業論」収録
FOMA D703i
Apple – iPhone

小豆島で「ダッシュ村」映画を撮影中

2007年3月5日

WEBテンツク
http://www.tentsuku.com/
てんつくマンが小豆島を舞台に映画撮影をしているらしいです。インタビューマンガ「絶望に効くクスリ」(第55夜、第6巻収録)で知りました。
ダッシュ村のように自給自足で生活し、その様子をフィルムにするのだとか。参加者も募集中らしい。
いいですね。自給自足生活をしたり映画撮影に映える環境があったりするのは別に小豆島に限った話じゃないですけど、ナチュラルに生活するにはかなり条件の整った場所だと思いますよ。人口3万人以上とはいえ、都市化されている場所があまりないですから。ただ、廃墟のようにたたずむリゾートの夢の跡がちらほらあるのが見苦しいだけで。
たとえば陸続きだと太い国道が走ったり工業地域ができたりベッドタウン化して集合住宅が建ったりしていかにも日本的な半端都市になるんですが、島はどうしようもない隔離地域なので都市化されにくいというのがありますね。道路も農地も商店もその地域だけで完結するようにできている。
だからどうなるかというと、まず一つめは田舎の風景がわりと温存されやすい。田んぼの真ん中にいきなりラブホテルが建ったり、太い道路沿いの農地にカラフルな看板がひしめき合ったりしません。のどかなもんです。二つめは生活基盤が自給自足(地産地消と言った方が近いかも)に近い。隔離地域で働き口がないからホワイトカラーが少なく、個人事業や農家や漁師が多い(観光業と土建業もやたら多いけど)。これは別に農業や漁業で生計を立ててる人が多いだけの話じゃなくて、飲み屋のおっちゃんから歯医者のセンセイに至るまで片手間で畑仕事やら何やらをしている率も高い。毎日のように釣れた魚や野菜をあげたりもらったりして、お金を使わない経済がわりと成り立ってたりとか。
そんなわけで「いかにもな田舎」像を求めるなら小豆島は適地でしょう
ただ、そうやって映画になったり注目されたりするのがいいことなのか悪いことなのかは何とも言えません。例えばダッシュ村で町おこしだとか、古き良き風景を残して観光地化、だとかを安易に言い出すことが限りなくお寒いことは、一度観光で失敗した島の地元民としては痛いほど分かっています。ではどうすればいいんでしょう。風光明媚な資源を有名にして消費財にするか、うちわだけで持続可能な生活基盤としてひっそりと維持するか。別にどちらかでないといけない話でもないんですが。
ヨーロッパなんかだと両方のいいところを取ってリッチ層向けのリゾートにして大成功している例もありますね。そうすれば人が押し寄せて生活基盤を失ったりすることもなく、一方で観光業はしっかりと儲けて経済が潤うという仕組み。もっとも、こんな小島を世界中のリッチ層から選ばれる存在にするためには、おそらくものすごいリカバリが必要となるでしょうけど。
まあ、とりあえずゆっくりとした時間を過ごしたいという方は私に一声かけてください。お盆の休暇の時にでも島内を案内いたします。数時間で回れるようないかにもな観光地は勧めません。日がな一日好きなように泳げるプライベートビーチや、のんびり考え事ができる静かな釣りポイント、ネコ集団と銭湯が素敵な路地裏などに案内いたします。今ならうちの畑でとれたトマトとキュウリも付いてきます。
詳細は、大学卒業以来ずっとUターンを画策中のYAGITCHEまでお気軽にどうぞ。

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