ネットで「銚子電鉄を救え」 名物「ぬれ煎餅」に注文殺到 – ITmedia
電車修理代を稼がなくちゃ、いけないんです。 – 銚子電鉄
銚子電鉄が財政難のため車両検査もできない状態で、このままだと正常に運行できないらしい。というわけで会社ホームページ上で窮状を訴え「乗ってください。当社から発売してるぬれ煎餅買ってください」とお願いしています。
( ;A;) おおお、おお、お、俺濡れ煎餅買うよ! – 春屋
ページ掲載は15日夜。私が見た17日夜には公式サイトも難なく見られる状態でしたが、その後アクセスが集中。21日にはホスティング会社の「アクセス集中のお知らせ」しか出ないようになっていました。(今は回復しています)
ITmediaによると15日から21日までの5日間で2000件の注文が殺到。発送作業が追いつかず21日注文分は発送まで20日かかるとか。ちなみに17日夜に注文した私は22日昼に到着ということで正常範囲でした。
【銚電】こうなると次はみのか小倉が取り上げる – 春屋
というわけで、ぬれ煎餅と玄米あげ餅、買いました。うまい。
普通の煎餅と見せかけてかじった瞬間「ヘニャ、ペキペキペキ」という感触。柔らかさもムラがあって、柔らかいものになると最早グニャグニャです。でもうまい。味が濃いことも手伝ってやめられない止まらない。口の中にしょうゆ味のファンタジーが広がります。
このようなメッセージも入っていました。手書きで私の名前を入れているところが丁寧です。
お客様各位
謹啓
このたびは、電車検査費用捻出の呼びかけに対して、全国から弊社の存続をご支援いただく皆様から、ぬれ煎餅他、鉄道グッズのご注文を多数いただきましたこと、心より厚く御礼申し上げます。
ホームページに弊社の窮状を掲出以来、毎日100件を超えるぬれ煎餅等の購入の申し込みと、応援メッセージをお寄せいただき、社員一同奮い立つ思い出でおります。
鋭意、発送作業をおこなっておりますが、ご注文より遅く配達された皆様には、ご迷惑をお掛けしましたことを、お詫び申し上げます。
まだまだ、存続に向けて行わなければならないことはございます。その都度、皆様にはホームページ等を活用して現状をお知らせいたしますので、引き続きご支援・ご鞭撻を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
謹白
平成18年11月 吉日
銚子電鉄株式会社
社員一同
(※以下、事業部、鉄道部、労働組合執行委員長の直筆署名)
紹介記事はここまで。ここからは利他行動にまつわる思惑ついて
私は上の春屋の記事で知った瞬間、反射的に通販サイトに移動してぬれ煎餅その他を買ってしまったんですが、冷静に考えるとなぜ買ったのかがよく分からない。別に買ったことを後悔はしていないしむしろ買って良かったなと思っていますけども、ネット通販に多少の抵抗がある私がなぜ「反射的に購入ボタンを押してすぐにコンビニに金を払いに行く」という迅速な行動をとってしまったのか分からない。
もちろん「銚子電鉄の資金不足を救いたい」という考えが原動力です。でも別に2chで「みんなで助けるぞー」「おー」的なスレに参加していた訳ではなく、単に紹介記事と実際のホームページを読んだだけ。それ以外の情報がないのにこうした行動を取ったというのは、この私の一連の行動の中に「人がものを買うことを決断する」という重要な要素が隠れているのではないかと思うのです。
たとえばこの場合は利他的な行動をしようと思い、しかもそれを実行に移したわけで、この思考の中に
・銚子電鉄を助けたいが、それをするだけの労力が惜しい
・銚子電鉄を助けたいが、それをするだけのお金が惜しい
・銚子電鉄を助けたいが、それをするだけの時間が惜しい
・銚子電鉄を助けたいが、ぬれ煎餅を買うのは嫌
・銚子電鉄を助けたいが、ぬれ煎餅を買うために代金を支払う手段がない
・銚子電鉄を助けたいが、ぬれ煎餅を買うために個人情報を出すのが嫌
・銚子電鉄を助ける労力と金があるのなら、アフリカの子供を援助する
・銚子電鉄の窮状は分かったが、それで物を買わせるというのが感情的に受け入れない
・銚子電鉄の窮状は分かったが、借入金の横領事件のあった会社に施しをする気はない
・銚子電鉄の窮状は分かったが、自分がやらなくてもみんなが何とかしてくれる
などなど、思考のハードルがあります。おそらく銚子電鉄のホームページを読んだ人で購入ボタンを押さなかった人はこのハードルのどこかに引っかかったのかもしれません。一方で、それを乗り越えてわざわざ購入ボタンを押した物好きが5日間で2000人もいたのです。
ちなみに私の場合を考えると「銚子電鉄を救いたい」「ぬれ煎餅くらいなら買ってもいい」という二つの思惑がある程度強かったために今回の購入に繋がったんだと思います。どちらの思惑が弱くても買ってはいなかったでしょう。
この2つの考えは、利他行動にはつきものの要素じゃないかなと思うのです。
たとえば「この商品を買って○○を救おう」と訴えているある団体がいたとして、私の「○○を救いたい」という感情を掘り起こせなければ私は金を出さない。そして「○○を救いたい」という感情を掘り起こせたとしても「救いたいけどこの商品は欲しくない」と判断したらやっぱり私は金を出さない。個人の利他行動にも利害というのはからむのです。
金に余裕のある人がボランティア精神でやる「○○を救ってください」的な利他行動はおそらく正義感とか義務感でやってる人は少なくて、多くの人はファッション(見栄)とかライフスタイル(自己満足)としてやってるんじゃないかと思うのです。少なくとも私はその口。実際ホワイトバンドブームやロハスブームを見る限り、ファッション性やライフスタイル性を前面に出した方が結果として成功しやすい。
そういった大勢に訴えかけるには、やはり援助とセットで欲しがりそうなものを提供するのが一番利口なやり方ではないかと思います。うちの家にはユニセフロゴの付いたマグカップがありますが、デザインがかなり気に入ったので購入しました。
名指しにして申し訳ありませんが「心のとも運動(鉛筆販売)」「愛と友情の絵はがき(絵はがき販売)」なんかはもう少し良い方法があると思います。小学校や中学校の全員に印刷物を配って、そのうちどのくらいが鉛筆や絵はがきを欲しがるかな…いや、今でも十分売れているのならいいんですが。
ユニセフなんかはマグカップ以外でも結構魅力的なものを揃えている。鉛筆や絵はがきと比べて粗利が高いのか低いのか知りませんが、少なくともクリスマスカード一つ取ってもデザインセンスがいいので「よし一つ買ってみようか」という気になる。行動に踏み切ろうという大きな理由になるんです。
今回の銚子電鉄の成功は「ぬれ煎餅くらいなら買ってもいいかな」という人で支えられているんじゃないかなと思います。これが「銚子電鉄の廃レールで作った文鎮」しか売っていなかったらあまり効果には結びつかなかったでしょう。ちなみにレール文鎮は限定生産のためあっという間に売り切れたそうですが。
結論:
個人の利他行動にも利害が絡む
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