星川銀座四丁目
私が熱狂的に大好きな漫画家の一人。玄鉄絢(くろがねけん)の最新作。柔らかいタッチの絵とニヤリとさせる粋なストーリー展開、それからセリフ使いの巧みさが魅力。もともと18禁のマンガを描いている人なんだけど、4年前に出た前作「少女セクト」はエロマンガというカテゴリでくくってしまうのが勿体ないくらいに素晴らしいのです。で、18禁じゃなくしてエロ要素を取り除いたらどうなるのかなとこのマンガを読んでみたら、やっぱり素晴らしい。女の子2人の生活が映画で撮ったかのように綺麗に流れてゆく。
話の内容は百合でロリ。ひらたく言ってしまえば何なのこの変態って話なんですが、小学校の先生が不登校の教え子を引き取って同居してて、2人の心はだんだん近づいていくというストーリー。とはいえ、相手は同性でしかも13歳年下の小学生(って言っても先生と同い年に思えるくらいに大人びてるんだけど)ということに苦悩するところが効果的に描かれてて、繊細な問題を丁寧に掘り起こして組み立てている。そこが素晴らしい。もともと私は百合ものに興味があるわけではないんだけど、この人の百合ものは大好きだ。
雷撃☆SSガール
一言で言うなら「ザ・マネーゲーム」な小説。主人公が女の子と出会い会社をどんどん大きくしていき、やがてはファンドを立ち上げて巨大なマネーゲームをしていくというお話。ライトノベルかと思いきや立派な経済小説(狼と香辛料も同じ方向性)。ストーリーを現実とリンクさせていて、なんかよくわからんけどフィクションなのに奇妙な説得力があるのが特徴。ITバブルやリーマンショックといった現実の話がそのままの時系列で出てくる。日本郵政とか実名で登場するし。で、話の根幹は陰謀論につながっていて世界を裏で動かしているブランフォート財団をぶっつぶすという目的のために主人公たちはマネーゲームで資産をどんどん巨大化させていく。作者が経営者らしく、小さな会社をどんどん大きくしていく場面はとても現実感があって面白い(特に1巻)。後半3分の2は話が壮大すぎて現実離れしていてよく分からない。真面目に読むと内閣情報調査室が社内に潜り込んでたり突然ロシア軍の部隊が命を助けてくれたりとか「ねーよwww」の連続だけど、終始エキサイティングで退屈しないことは保証したい。
モチベーション3.0
人は仕事をするとき、アメとムチのような外発的動機より「楽しい」とか「認められる」とかの内発的な動機の方が効果が高い場合があるよ、というお話。かつて労働者といえば工場労働者のようなブルーワーカーが多くを占めてた時代に作られたアメとムチの報酬体系。でも単純作業ではない頭脳労働ではアメとムチの報酬体系ではモチベーションを下げたり、せっかくの能力を生かせなかったりするということがある。というわけで今の時代の働き方には内発的動機を使った仕事の仕方が合っているというのが結論。Googleでやってる「20%ルール」とかの内発的動機でやる気を出すようなしくみが例として挙げられている。とりあえず考え方は分かった。でも実践するのって難しいね。思ったのは、これって極めると年功序列賃金に近くなるんじゃないないかと。個々人の能力が即給与に反映される(成果報酬制)んじゃなくて「憂い無く働けるだけの金額を支給する」という考え方で給与体系を決めると、ライフステージや家族構成によって出費額が違うから支給額もそこに合わせられて、つまりなんちゃら手当でゴテゴテ固められてる現状と同じになるね! と思ったのです。あと、残業代が支給されることが念頭に置かれてある日本の大企業みたいなところでは、恣意的に残業を増やして一時的な稼ぎを増やす裏技が使えなくなったりとかw
もやしもん
今さらながら全巻まとめ読み(9巻まで既刊)。おっさんは読め! もう一度言う。おっさんは読め! 菌がテーマなだけあって発酵食品が目白押し。ビール、ワイン、納豆、チーズ、鰹節、味噌、ヨーグルト、泡盛、どぶろく、日本酒、マッコリ、キビヤック、ホンオフェ、シュールストレミング、ほーら腹が減ってきた。発酵食品のうまさが分かるのはおっさんの特権。後半は話が脱線気味で菌が関係なくなってきているけど美味しい食べ物さえ出てくれば文句は言わないよ。ところでストーリー中に唐突にゴスをロリったり、801ったり百合ったりと奇妙なサービスカットを織り交ぜてくるのは何とかならんものか。