香川県の異常なインターネット普及率

2005年7月6日

Jaco氏からおもろいネタが来たのでちょいと調査なぞを。ネットレイティングスが発表した都道府県別インターネット人口普及率、1位は香川県だったらしい。
グラフを見ると香川県の普及率71.7%は異常なまでに突出していて、普及が進んでいるように思える東京(2位)や神奈川(3位)に10ポイント近くも差を付けて独走している。ちなみに最下位の青森は26.8%で、香川県の多数派と少数派をちょうどひっくり返した数値なのが面白い。
都道府県別インターネット人口普及率(社会実情データ図録)
なぜ香川県でインターネット人口普及率が高いのだろうか。
Excelを使ってあれこれ分析したが、結局は「何かの間違い」という結論に。

香川県と大分県で激変

インターネット人口普及率ベスト5(2005)
  香川県: 71.7%(前年32位)
  東京都: 62.2%(前年5位)
神奈川県: 59.7%(前年2位)
  奈良県: 57.5%(前年1位)
  大阪府: 56.6%(前年7位)
 
インターネット人口普及率ベスト5(2004)
  奈良県: 62.5%(今年4位)
神奈川県: 60.5%(今年3位)
  埼玉県: 57.4%(今年7位)
  大分県: 56.8%(今年35位)
  東京都: 56.6%(今年2位)
 
インターネット人口増加数ベスト5(2004~2005)
  香川県:  31.7
  新潟県:  19.5
  鳥取県:  16.8
  福岡県:  11.1
  三重県:  10.0
 
インターネット人口増加数ワースト5(2004~2005)
  佐賀県: -17.2
  大分県: -16.2
  沖縄県: -14.4
  長崎県: -11.1
  青森県:  -9.9

今年度と昨年度の総務省の情報通信白書を引っ張り出してきて比べてみたら、この数値はけっこう変化が激しいものだと分かった。気がついたのは次の2点。
1. 香川県はこの1年で普及率が激増した
2004年度の数値では普及率は40.0%と全国平均(44.5%)以下だった。2004年~2005年の普及率増加は31.5ポイントともっとも高い。
2. 大分県はこの1年で普及率が激減した
2004年度は56.8%と全国4位だったが、2005年度では40.7%に激減。2004年~2005年の普及率変動は-16.2ポイントで、2番目に低い水準になった。その一方で2003年~2004年の普及率変動も調べてみると今度は17.9ポイント増加で全国1位だった。
でも、香川県出身の私でも香川のインターネットに大きな変化があったなんて聞いたことがないし、大分県の普及率が大きくマイナスになるのは理解できない。人口に大きな変化はないのにインフラが急に縮小したりすることがあるのだろうか。

地方で普及率の変化が激しいのか

上にある普及率の表と普及率の変動の表を見比べてみるともう一つ気がついた。2004年~2005年の普及率増加ベスト・ワーストともに地方が多い気がする。念のため2003年~2004年も調べてみたが同様。大都市圏にある都府県の普及率は安定して高く、それ以外の場所では年によって大きく変化しているのではないだろうか。
そう思って経済規模や宅地面積率など大都市部と地方を特徴づけるデータと相関があるかどうか比較してみたが、結果は出てこなかった。そもそも47都道府県の中で大半は「地方」に分類されてしまう。しかし少数の「大都市部」が普及率上位に安定してランクインしているのは事実だ。
一方の携帯電話契約数は分かりやすいデータが出ていて、大都市部と地方で普及率がはっきり分かれている。変動も6.6~-0.2(2005年度)、9.7~1.9(2004年度)と少なく特徴はない。

携帯電話契約数人口比ベスト5(2005年度)
  東京都: 115.2%
  大阪府:  85.7%
  愛知県:  84.7%
  宮城県:  77.1%
  福岡県:  75.6%
 
携帯電話契約数人口比ワースト5(2005年度)
  福島県:  53.9%
鹿児島県:  53.6%
  青森県:  52.1%
  秋田県:  51.9%
  岩手県:  51.7%

原因は集計方法なのか

携帯電話の契約人口比に比べてインターネット人口普及率の変動が大きいのは集計方法によるものではないだろうか。ニュースサイト「13Hz」のコメントでも調査ミスではないかという見方だ。
総務省の情報通信白書にある同じデータによると電話調査らしい。

NetRatings社資料(平成17年1月~3月の調査結果)による数値
全国を対象としたRDDによる電話調査。インターネット利用者を調査回答者数で除した数値

インターネット利用者の定義:以下の条件を満たす個人(2歳以上)
(1)家庭PCを利用して1か月以内にインターネットにアクセス
(2)インターネットに接続できる携帯電話を所有していて、ウェブアクセス、メール(ショートメールを除く)に利用
(3)PC、携帯以外のデバイスでインターネットアクセスした人(情報携帯端末、インターネットTV、ウェブTV、ゲーム機、ウェブターミナル、Lモードなどインターネット接続可能な電話機・ファクシミリ、その他のデバイス)

社会調査についてはそれほど詳しい方ではないが、問題のある集計方法ではなさそうだ。しかし四国総合通信局のブロードバンド普及状況データや総務省の報道資料ADSL資料などを見てもこれといって回線普及率が他県より優れているようには見えない。これらの統計はADSL契約回線数や携帯電話の契約回線数など実数を数えているのが人口普及率調査と違うくらいで、やはりネットレイティングスの集計方法に何かあったのではないかと思えてくる。

まとめ

インターネット人口普及率の調査結果を支持する他の統計データがない。つまりこの調査結果は調査ミスの可能性があり、現時点では信用できるものとはいえない。

関連・参考

情報通信白書 – 総務省
都道府県別インターネット人口普及率 – 社会実情データ図録
インターネット普及率、なんと香川県が圧倒的トップ – 13Hz
インターネット普及率 -JacoBlog
香川ブロードバンド普及推進会

One thought on “香川県の異常なインターネット普及率”

  1. きまいネットだ!!!
    去年あたりから、市や県の体育館などの施設を予約するシステムが、変わりました。それまでは、一人で何枚も作れていたカードが、一人一枚くらいに、なってしまいました。ですから、大勢の人達が、登録する事になりました。今までは、クラブのキャプテンや、役員の人達だけの登録で済んでいたのが、かなりの人間が、自分のカードを使って、きまいネットにアクセスするようになりました。来て頂ければよく、分かるのですが、
    以前、午前、午後で貸していた県立体育館ですが、今は、なんと二時間です。つまり、倍の稼動になっています。
    『倍』、『倍』ですよ!企業だって、業績を二倍にするのは
    ムツカシイっていうのに、県立体育館の人達は、やっちゃって
    くれてるのです。無料の託児つきのバドミントン教室もあります。もちろん、駐車場も、無料です。もちろん、60,70過ぎた卓球のクラブの人達も、やってるみたいです。
    ただ、それが、メールや、ネットを開く所まで行ってるかどうかは、これからですが・・・。
    そんなに、普及してたら、アタシのブログを、読んでる人が
    少しはいる事になりますからね。ライブドアの『赤いミカエル』で、多い日に200アクセスくらいですかね!この内、何人がサヌキノ人なのか?
    オジサン達の持ってるケイタイは、たいてい、自分のアドレスが、分からないふる~い機種です。オジサン達の大化の改新、まだ、終わりません。
    それじゃ、これって理由見つかると、うれしいな!

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