Operaユーザから見たMozilla Firefox

2004年11月14日

Mozilla Firefox 1.0 正式リリース。開発側はシェアの10%を奪い取るとかなんとか息巻いていて、見ていて面白い。

<Firefoxは普及するか>
MozillaはHTMLやCSSの厳密な解釈に優れていると思うので、普及が進むのは歓迎すべきことだと思います。少なくとも、優しすぎる解釈のIEが標準になっているためにWEBサイトの作りがテキトーになっている構造は変えなくちゃいけない。それがHTMLの敷居の低さになっているんだけど、今は昔と違ってブログツールもあるしなあ…。
劇的に速いレンダリングエンジンを積んでいるというのなら爆発的に普及してもおかしくないですけど、もう既にブロードバンドの時代だしなあ…。同じことはOperaの登場時にも通じますが、Operaの場合もたいしたシェアを獲得していない。IEやMozillaと違って標準でバンドルされているOSがないのも原因だし、UAを標準で偽装する設定なのも原因だし、何より広告が入るのが原因だと思う。
それらを差し引いてもOpera以上に何か光るものと、全世界を驚かせるほどの大きな衝撃がないとMozilla Firefoxの普及は非現実的ではないのではないかと思います。IEが使えないとは言ってもセキュリティ上の問題は素早く対応できているし、機能面でもIEベースのタブブラウザで十分な域に達しています。あっと言わせるほどの機能がないなら地道にバンドルOSを増やすなどするか、地道な機能拡張やバグフィックスで信用を少しずつ高めていくという方法ぐらいしかないでしょう。
<Firefoxの使い勝手>
さて、私もFirefox 1.0を導入してみました。本当は9月ごろから公開されていたPreview Releaseを何度か使っていたんですが、気持ちよく使おうと正式版をあらためてインストール。
表示速度も速いし機能としても最低限揃っていて申し分ないのですが、その軽さゆえに何もないというべきか…。少しがっかりです。何も驚くべきところはありません。少なくともOpera使いの私にとっては。
<Operaと比べてみる>
私のブラウザ遍歴はDonutシリーズに始まります。インターネットを始めてIEを使っているうちにウェブの世界を泳ぎ回るのにタブ機能と検索窓は必要不可欠だと感じたからです。Donut無印→DonutR→DonutRAPT→DonutP(現役)と移り変わりながら長い間IEエンジンを利用してました。そこへ「劇的に速いらしい」Operaが登場したことで飛びつくように乗り換えました。当時はAir H”ユーザだったので表示速度は死活問題だったのです。
表示速度以外にも拡大/縮小表示、ワンクリック認証、スキンの充実などいろいろ魅力的な要素もあり、そして何より斬新で目新しかったので導入に踏み切りました。今ではさらに表示のカスタマイズのしやすさとキーボードショートカットの充実度で手放せない存在になっています。
そういった理由でどうしてもFirefoxの使い勝手をOperaと比べてしまうのですが、Operaに遠く及びません。レンダリング速度はFirefoxの方が上なので巷ではOperaのアドバンテージはないと散々言われていますが、だからといって重い腰を上げてFirefoxに移る理由にはなりません。むしろ、あまり気にされないような細かな機能で天と地ほどの差が出ています。
キーボードショートカットとツールバーのカスタマイズ、この2点の使い勝手の良さに慣れたOperaユーザは今のところFirefoxには移れないでしょう。ワンボタンのキーボードショートカットはMozillaにはありません(ファンクションキー除く)しカスタマイズも不可。ツールバーカスタマイズの自由度もFirefoxには無さすぎます。私にとってはページバー(Firefoxではタブバー)が左側に配置できないのが致命的でした。
何より、<a href=”hoge.html” target=”_blank”> のリンクが新規タブではなくなぜか新規ウィンドウで開くというNetscape Navigator以来の謎行動に、鳥肌が立つほどに嫌悪感を覚えます。せっかくタブブラウザにしているのになぜタブを使わないんだよ! 私はタスクバーを占拠されたくないんだよ!
そして、漠然とした話ですがデザインのセンスがよろしくない。アドレス窓や検索窓もOperaのように立体感を薄くすればもっとしまりのあるデザインになるだろうし、タブの形やデフォルトスキンのセンスなど些細なところが手抜きっぽい。良く言えばシンプル、悪く言えば無骨で愛想がなさすぎで、これはスキンを変えればいいという次元の話ではないような気がします。シンプルなのにすっきりしていないので見ていてもやもや感がします。
以上、
・操作のカスタマイズ(キーボードショートカット)度の低さと配慮の無さ
・デザインのカスタマイズ(ツールバーカスタマイズ)度の低さ
・新規ウィンドウで開く
・デザインセンスが悪い
の4点がどうしても受け入れられません。
まだまだOperaを使い続けることになりそうです。
逆に言うと、以上の4点が改善してOperaを凌ぐほどになれば私も移行します。target属性の新規ウィンドウで開く機能も設定次第なのかもしれませんし、デザイン要素もスキン次第で納得のいくデザインに変化するかも知れません。
<がんばれFirefox>
「Firefox は、地球上で最もカスタマイズ可能なブラウザです」という売り文句は、機能拡張に限ってはその通りだと思います。Operaには拡張機能がついてるわけでも全世界でプラグインが開発されているわけでもありませんから。ただ、デザインや操作プロセスのカスタマイズに関しては硬直的すぎます。
もちろん、多くのユーザは機能重視ですからその選択は正しいと思いますが、シェアを伸ばすためにはそういった「見栄えの自由度」などの遊びの部分が必要になってくると思います。
やはり、対IE陣営としてスマートで積極的に普及を狙ってきたOperaに一日の長があると私は判断します。しかし、Mozillaの開発コミュニティは大きいですから、これから先の進歩は速いサイクルで進んでいくことでしょう。今後に期待です。

余談ですが、いま私のデスクトップはFirefoxです。
壁紙やロゴのセンスからして、希望は持てると思います。
追記:
誤解点が多すぎたので修正です。
Operaユーザから見たMozilla Firefox その2