2007-04-30 22:52 | 雑記 | §
家庭にはPCの代わりにThinClient(シンクライアント)を – Web屋のネタ帳
これを読んで目から鱗が落ちました。そうか、シンクライアントという手があったのか。
PCが動かなくなったとかで度々実家から電話がかかってくることがあるんですが、電話でのサポートって限界があるんですね。しかもうちのPCは今年で7年目になるWin2kマシン。何をしても動かないこともあるし、突然動き出すこともある。まるで装備の大半が壊れた観測衛星を8000万km離れて運用しているような頼りないものです。
と、そこでシンクライアントの登場です。(シンクライアントとは)
家庭に置いておくのはネットワークさえ繋がれば使えるような単純設計のマシン。パソコンに比べれば故障確率も格段に低いでしょうし、データの紛失・破損も少ない。実家PCを管理することの何が大変って、不具合や故障が再々起きる、故障が発生しても原因を突き止めにくい、対策が分かってもリモートのために何も出来ないことがある、の3つ。
シンクライアントであれば、クライアントマシンが最低限機能しか持たないため故障確率が比較的低い(特にHDDの不具合!)。しかもサーバを手元で管理できるため故障時の対処が簡単。実家PCの用途はネットブラウズぐらいなのでリッチな装備は不要。それにサーバ-クライアント間の通信が出来ない場合はすなわちネットブラウズもできない状態なので、不具合発生リスクはほぼネットワークに依存するだけ。
あとは手軽で安価なシンクライアントソリューションがあるかというところですね。たぶんビジネスユースの高いものしかないんでしょうけど。フリーのツールがあったとしてもクライアントPCを用意して実家に据え付けに行くのが面倒だし、何よりサーバの運用が難しい。どこか個人用シンクライアントのパッケージサービスってないんでしょうか。
別にうちの実家に限らず、田舎に住んでるおじさんおばさんでPCに疎いけどネットがしたい人、でも出張修理に数万円も払えないという人に受けると思うんですがねえ。デジタル環境整備に予算を投じられる地方自治体なら自前でデータセンタを構築してもよいと思います。
(追記:既存業者によれば個人向けサービスも検討の余地はある、とのこと)
余談
さて、ここまで書いたところで「ネットを見たければWiiのインターネットチャンネルがあるじゃないか」とどこかからツッコミが入った。ふむ、うちの実家の発注管理に使えるならば業務をそっくり任せてもいいが、キーボードが使えないので無理かも知れない。うーん残念。
WiiじゃなくてもMacとかSONYのロケフリ製品群とか、PSPとかS01SHとかでワンパッケージで実現できれば言うこと無しなんだけど。
2007-04-20 01:42 | 雑記 | §
うちの職場に新しく人が来たとかで飲んでいたんですが、その人が同じ高校出身でかなりびっくり。うどん屋三宝とか補習科のPバッチとか、初対面でこんなローカルトークしたの数年ぶりですよ。8年ほど先輩の人だったんですけど教師陣の話がほぼ通じてしまうのが恐ろしい。さすがは異動が極端に少ない高校です。
ちなみに話題に上った教師の順番は以下の通り。
・K金(体育)
・I川(国語)
・S栄(数学)
・O(英語)
こういうときの思い出す順番というのはたぶんインパクトの強かった順なのだろう。校内中から嫌われていたK金がなぜか真っ先に出てくるという事実。記憶に刻み込まれる条件は極端に面白かったか、極端に嫌っていたかのどちらかなんでしょうね。
死ぬ直前の走馬燈の中にもK金の顔が浮かんできそうな気がしてならない。
2007-04-10 00:24 | 雑記 | §

最近のお供はペッパー先生。
こないだ会社の自販機で見つけてからは毎日飲んでる。特にストレス負荷が高まると手が伸びる。一日一本、三日で三本、週末働きゃもっと増える。
せっかくモバイルでブログ更新できる環境が整ったというのに、家にほとんど帰ってないから会社の話題しか思いつかないのは寂しいことだね。先週は本部長と共謀して自社のコールセンターにイタ電して遊んだ、とか、課長に捕まってコロッケに対しての殺意をとうとうと聞かされた、とか、この間のホワイトデーに「娘とかみさんに何をお返ししたらいいか」という議論だけで丸ごと30分の会議が終わりかけた、とかそんな話しか思いつかない。
仕事しろ。
2007-04-04 11:34 | 雑記 | §
業界の常識を覆すとか言うのは簡単ですけど、いざやってしまった後で実はそれがパンドラの箱だったことに気がついたりするのです。そんなこんなで今日もオフィスは大運動会です。
最近自分が大きな渦の中心近くで踊っているような気がしてならない(´・ω・`)
2007-03-26 00:43 | 雑記 | §
論理的思考の放棄 (登 大遊@筑波大学情報学類の SoftEther VPN 日記)
http://d.hatena.ne.jp/softether/20070324#p1
登大遊氏が面白いことを書いてます。彼は一日最低3000行、最高でも1万行という凄まじいペースでプログラミングをします。そのプログラミングのステップを分解すると作業の大部分は論理的思考の入らない感覚的作業でした。だからプログラミングをするのは論理的な作業とは言えないですよ。てな話。
天才が語る「論理的思考」は凡人の考えるそれとは違うのだな、というのがよく分かりました。
彼にとってはおそらくプログラミングに必要な「論理的思考」はただのルーチンワークなのでしょう。自転車の乗り方をいちど覚えてしまえば次からは考えなくても乗れるように、彼にとってはロジックを組み立てることが手足の感覚のように当たり前の存在になっていて、労力も時間もさほど必要としないレベルにまで自動化されている。だから構想や設計といった感覚的なものしか彼の意識上にはなくてこのような極論になったのではないかと推測します。いいですね。無駄なこと一切を無意識が勝手に処理してくれて特に考える必要がないっていうのは。
だから天才の言うことは私たちとは一切関係ないんだよ、という話をする気はありません。無意識の効率的な使い方は天才に学ぶべきと言いたいのです。自転車の乗り方を覚えたとき、それは身体が覚えたのではなく「必要な一連の動作を無意識化で処理できるようになった」だけに過ぎないのです。登氏がプログラムを書くのはおそらく自転車に乗るのと変わらないのでしょう。つまり、考えなくてもペダルはどんどんこげるので、あとはハンドルを右に曲げるか左に曲げるかだけしか考えなくて良い。それは簡単に言えば「慣れ」です。
毎日自動車に乗っていれば、考えなくても運転動作が出来るでしょう。毎日学校に行っていれば、考えなくても目的地に着けるでしょう。毎日マクドナルドで働いていれば、考えなくてもマニュアル文章が口から出てくるでしょう。すべては慣れです。必要動作をことごとく無意識に任せてしまうのが「慣れる」ということです。
ということは、作業に占める「慣れ」の比率を極限まで高めれば登氏のような異常なペースも不可能ではないのですね。まあ言うのは簡単ですけど、退屈な作業があったらそれを退屈なままで終わらせずにさっさとオートメーション化して次へ行け、いつまでも低いレベルの思考をするな、ということです。それを彼は「努力しない」「頭を使わない」という言葉で表現しています。これはよく言われる「優秀なプログラマは面倒くさがり」ということを支持していますね。
さて、私の場合ですが残念ながらプログラミングが得意ではないことに最近気がつきました(作業自体はかなり楽しいんですが生産性が低すぎる)。その一方で文章を書くのはわりとすらすらいけます。5年以上書いているので無意識で片付けられる部分が増えてきたのですね。では文章を書くことにおいてこれ以上無意識に任せられる部分はあるのでしょうかね。テーマと構成だけを決めればあとは考えずにキーボードを叩くだけ、とかそういうレベルになればいいですね。
さて、あなたの目の前にある作業で次に自動化できるところはどこでしょうか。(啓蒙書風に終えてみる)
参考
論理的思考の放棄 – 登大遊のSoftEther VPN日記
論理的思考の放棄2 – 前エントリの追記
・登氏のコメント欄にしては珍しく質が高い
論理的でも非論理的でも良い
直感を信じろ、自分を信じろ、好きを貫け、人を褒めろ、人の粗探ししてる暇があったら自分で何かやれ。
2007-03-19 01:13 | 雑記 | §
今日からPASMOが使えるというので定期券をPASMO対応にしてきました。

夕方頃にいつも定期券更新やってる自動券売機まで行き、従来の時期定期券を突っ込み氏名と生年月日と電話番号を入力してデポジット500円を支払うとPASMOカードが出てきました。PASMO定期券は記名式なので個人情報を登録しないといけないのは知っていたんですが、定期券が持ってる情報とは別に入力させられるんですね。よく分からない。
さあこれで定期券を落としても大丈夫。安心して6ヶ月定期券を買えます。月収を軽く超えるので落としたらシャレになりません。
とはいえ、手元にはまだ使い切ってないパスネットが1枚。約3000円分。Suicaが2枚。同じく約3000円分。この大量の残額がある限りは「一枚でOK」とはいきません。残額の移し替えができればいいのだけどね。PASMO導入で私の通勤パターン(つくば⇔秋葉原間は定期を使い、秋葉原⇔会社間は気分に応じてJR or 地下鉄でルートを変える)の最大の問題点「カードを3枚持たないといけない」が解消される(※)予定ですが、残額を使い切るまではしばらく3枚持ったままになりそうです。
さて今回PASMO開始と同じタイミングでSuicaが子供用に対応。都バスの乗り継ぎ割引にも対応しました。JR東日本がようやくことでんに追いつきましたね。あとは身障者用カードと回数割引があればことでんに勝てますね。(w
関連
PASMO – 公式サイト
Suica と Pasmo と。あと、い~カードも。 – detourist
※解説
<Before>
・つくば⇔秋葉原の定期(磁気)
・秋葉原⇔会社最寄り駅のパスネット
・秋葉原⇔会社最寄り駅のSuica
<After>
・つくば⇔秋葉原の定期(PASMO)
2007-03-06 00:28 | 雑記 | §
いまから40年以上前、梅棹忠夫という人が「モノの価値はモノが持っているのではなく、モノの中にある情報が持っている」ということを発見して情報化社会を予想しました。商品の価値がハードウェアとしての価値とソフトウェアの価値に分かれるという、今となっては当たり前のような話です。でも、こうしてハードとソフトという概念、モノとサービスという概念が一般的なものになっても、やっぱり直感的には理解できなかったりすることが多いのです。
今日は休日だったので買い物に出かけました。いま使っている携帯電話は3年近く使い続けている端末(premini)で、最近になってFOMAで魅力的な端末が出たのでFOMAに変えてもいいかなと考えていました。ドコモショップに行ってお目当てのFOMA端末(D703i)の値段を見て、安かったので変えようかどうしようかと逡巡しつつ端末を触ること10分ほど。
↓その時の思考はこんな感じです。
FOMAにすると電波が入らないかもしれない。でも見やすい大画面でiモードができる。preminiよりちょっと重くなるけど、それでも携帯電話にしては軽い。デザインも最高だし、2chスレでも神認定一歩手前といったところ。電波が入らない問題はデュアルサービスでmovaを併用すればいいかも。そもそもセキュアじゃない2Gを使い続けるのはどうなのか。いやしかし長年親しんだこの端末から乗り換えるのは惜しい。3年かかってようやくpremini使っている仲間を発見した。職場でも大半がFOMAで話のネタにもなる。もう少し待てば社費で3Gが使えるかもしれないし、せっかく安いままの旧料金プランを手放してしまうのもどうなのか。。。。。。
最終的な決断は「機種変更しない」になったのですが、その決め手となったのが「D703iは最薄最軽量でもシルエットがpreminiに比べて大きすぎる →だからpreminiのようなインパクトがない →所有欲が沸かない」ということでした。まあ、これ自体は本当にどうでもいい話なんですが、ここで取り上げたいのはFOMAという「サービス」の選択に端末という「モノ」が大きな影響を与えたということです。
ご存じ携帯電話というものは通話とか通信のサービスを提供するものなんですけど、けっこう端末の魅力も重視されるんですね。用が足りること(サービス)を重視する人と、所有欲やステータスシンボルを重視する人がいる。デジカメもノートパソコンもHDDレコーダーも液晶テレビもそうです。デジタルグッズ全般はそうです。
つまり、所有欲を重視する購買層にとって、デジタルグッズはハードの価値がソフトを含めたモノの購買決定に影響を与えるのです。ワンセグ見ないしワンセグ視聴地域にいなくても、ワンセグ携帯がやたら売れるのと同じです。ワンセグ(≒大画面液晶)というプレミアムを持ちたい人が所有欲を満たすために買うのです。
私の場合、FOMAは通信速度が速いとかパケット料金が安くなるとか音質がいいとか高機能だとか大画面だとか、そういったメリットを「持った感じデカいね」が一蹴したのです。携帯をサービスとして見ている人はどんどんFOMAにするし、モノとして見ている人はどこまでも端末しか見ないのです。
言いたいのは、モノの魅力とサービスの魅力、両方が問われるような商品はモノ重視派とサービス重視派で見方がまったく異なるということです。携帯電話は本来「つながる」サービス提供端末なのでサービス重視派がいるし、アクセサリー代わりに持っていることの価値を重視するモノ重視派もいる。パソコンも同じように二つに分けられますね。役に立つからとパソコンを買ってあれこれ始めるのはサービス派。まずパソコンを買って、それから使い道を考えるのがモノ派。音楽を聴きたいからiPodを買うのがサービス派。iPodを買ってから音楽を聴き始めるのがモノ派。
となると、日本の製造業的な考え方である「良質なものを作れば売れる」という考え方は古くなっているのかもしれませんね。みんなが良質なものを作っているからそれだけでは売れない。ポータブル音楽プレーヤーひとつとっても、音楽を聴きたい人に機能(つまりソフト的な価値)を提供することにかけては各電機メーカーはうまかった。でも、所有欲に訴えかけるような方法(デザインやUIやプロモーション)で「別に音楽を聴きたいわけじゃないけど」な人も開拓したAppleの方が一枚上手でした。やはり所有欲は無視できないものになっているのです。
はてさて、
元の話に戻りますが、携帯電話をモノとして見ている私はおそらく次にあっと言わせるような端末が出てくるまでpreminiを使い続けるのでしょうね。よほどのことがない限り、ずっと私は携帯電話をアクセサリーの一つとしてしか見られない気がします。
◇
iPodのようにみんなが所有欲をかき立てられるような端末って何でしょうね。少なくともiPhoneではないと思いますが。
参考
梅棹忠夫 – Wikipedia
梅棹忠夫 「情報の文明学」 中公文庫 – 論文「情報産業論」収録
FOMA D703i
Apple – iPhone
2007-03-05 02:05 | 雑記 | §
WEBテンツク
http://www.tentsuku.com/
てんつくマンが小豆島を舞台に映画撮影をしているらしいです。インタビューマンガ「絶望に効くクスリ」(第55夜、第6巻収録)で知りました。
ダッシュ村のように自給自足で生活し、その様子をフィルムにするのだとか。参加者も募集中らしい。
いいですね。自給自足生活をしたり映画撮影に映える環境があったりするのは別に小豆島に限った話じゃないですけど、ナチュラルに生活するにはかなり条件の整った場所だと思いますよ。人口3万人以上とはいえ、都市化されている場所があまりないですから。ただ、廃墟のようにたたずむリゾートの夢の跡がちらほらあるのが見苦しいだけで。
たとえば陸続きだと太い国道が走ったり工業地域ができたりベッドタウン化して集合住宅が建ったりしていかにも日本的な半端都市になるんですが、島はどうしようもない隔離地域なので都市化されにくいというのがありますね。道路も農地も商店もその地域だけで完結するようにできている。
だからどうなるかというと、まず一つめは田舎の風景がわりと温存されやすい。田んぼの真ん中にいきなりラブホテルが建ったり、太い道路沿いの農地にカラフルな看板がひしめき合ったりしません。のどかなもんです。二つめは生活基盤が自給自足(地産地消と言った方が近いかも)に近い。隔離地域で働き口がないからホワイトカラーが少なく、個人事業や農家や漁師が多い(観光業と土建業もやたら多いけど)。これは別に農業や漁業で生計を立ててる人が多いだけの話じゃなくて、飲み屋のおっちゃんから歯医者のセンセイに至るまで片手間で畑仕事やら何やらをしている率も高い。毎日のように釣れた魚や野菜をあげたりもらったりして、お金を使わない経済がわりと成り立ってたりとか。
そんなわけで「いかにもな田舎」像を求めるなら小豆島は適地でしょう。
ただ、そうやって映画になったり注目されたりするのがいいことなのか悪いことなのかは何とも言えません。例えばダッシュ村で町おこしだとか、古き良き風景を残して観光地化、だとかを安易に言い出すことが限りなくお寒いことは、一度観光で失敗した島の地元民としては痛いほど分かっています。ではどうすればいいんでしょう。風光明媚な資源を有名にして消費財にするか、うちわだけで持続可能な生活基盤としてひっそりと維持するか。別にどちらかでないといけない話でもないんですが。
ヨーロッパなんかだと両方のいいところを取ってリッチ層向けのリゾートにして大成功している例もありますね。そうすれば人が押し寄せて生活基盤を失ったりすることもなく、一方で観光業はしっかりと儲けて経済が潤うという仕組み。もっとも、こんな小島を世界中のリッチ層から選ばれる存在にするためには、おそらくものすごいリカバリが必要となるでしょうけど。
まあ、とりあえずゆっくりとした時間を過ごしたいという方は私に一声かけてください。お盆の休暇の時にでも島内を案内いたします。数時間で回れるようないかにもな観光地は勧めません。日がな一日好きなように泳げるプライベートビーチや、のんびり考え事ができる静かな釣りポイント、ネコ集団と銭湯が素敵な路地裏などに案内いたします。今ならうちの畑でとれたトマトとキュウリも付いてきます。
詳細は、大学卒業以来ずっとUターンを画策中のYAGITCHEまでお気軽にどうぞ。
関連
WEBテンツク
小豆島ウェブマガジン
小豆島ドットコム
2007-01-21 17:32 | 雑記 | §
切込隊長BLOG屈指の名エントリ、アメリカンデブとの晩餐をテンプレ化してみた。事実でない部分が多数含まれているが気にしない。
大酒飲みとの晩餐
先日、某所から大酒飲みが来たので晩飯を一緒に喰った。
前に、私は彼の飲みの予定をドタキャンして激怒させたことがある(照)。
なもんで、東京の某ホテルに泊まっているから飯を喰おう、と誘われたら地元でもある私が飯代を出すのは仕方のないことだと思っていた。どうせダイニングといってもせいぜい1万かそこらであろう、こういうときぐらい仁義として払ってやってもいいだろう、いいに違いない、と自分で自分を説得しながら、待ち合わせ場所である新橋駅に向かった。
ひとつ、私が計算違いをしていたのは、大酒飲みは一人ではなかったのである。
私が激怒させたきよっさん(仮称)という酒飲みは、いわゆるこってり系であり、腹回りから腰にかけて分厚い脂肪が溜まっているタイプである。しかし、彼の周囲には彼と同泊しているというたかっさん(仮称)という酒飲みと、たかっさんの後輩である小松と和田(いずれも仮称)という酒飲みと四人で新橋駅前のSL広場で飲み屋街の品定めをしていた。というか全員ほろ酔いだった。
親が酒飲みなら子供も酒飲みというのは遺伝子や食習慣で分からなくもないが、よりによってその同泊しているパートナーまで私のよく知ってる大酒飲みを選ばなくても良いのではないか。
かくして、過去に痛い目にあった大酒飲みに会いに逝ったら、そこには4・大酒飲みズという複数形に進化していたのが非常に厄介であり、その後のお金の流出について強い懸念を抱き始めた。
安いワインダイニングに移って奥の個室を取り全員落ち着いたとき、その懸念は恐怖に変わりつつあった。初めに出された白ワインを、注がれるや否や10秒というオーダーで飲み干しやがるのである。「白ワインってのはな、食事前の談笑を楽しむためにちっとずつ飲むものなんだよ」と抗議したが「そんなことをするのは暇な瀬戸内人ぐらいのものだ」と口々に返され、「これだから高知県人は」と大げさに言ったところ「そういうことを言うと吉野川の水を止めるぞ」と笑って言われた。まあ、同様に兵庫県人と口論になると「お前、つまらん注文つけるとヘリ出動しないぞ(※)」と言われることがあるので、香川県の立場はかなり弱いものなのかも知れない。
※ 香川県の島々で頻発する山火事には兵庫県警が消火用ヘリを出す。他にも重大事件の立件など、離島に限っては香川県警と同等の存在感がある
口論には歴史を踏まえたお国柄というのが結構あって、岡山県人と仲良くする時は「道州制は中四国州で行こうぜ」とか「備讃瀬戸も埋め立てて陸続きにしよう」とか「四国新幹線はマリンライナーを特急にしたみたいなもんだ」とか都合の良いことを言い、岡山県人と喧嘩する時は「お前は俺のビッグブラザー(宗主国)ではない」とか「小豆島に逃げられた癖に(江戸時代まで小豆島は岡山側の領土だった)」とか都合の悪いことを言う。
どこの文化圏の国の連中と話をする時にも、分かる範囲でその国の歴史の都合の良し悪しを利用して仲良くしようとしたり口喧嘩したりするものなのである。なお、一部には洒落が全く通用しないので工夫したほうが良い。かなり昔の話になるが、徳島県人に「徳島ラーメンは讃岐うどんブームの二番煎じ」と言ったら、殴り合いの喧嘩に発展したことがあったので注意されたい。
そんな感じで仲良く大酒飲みズと飯を喰い終わって、流されるままに2軒目に行って終電が終わる前後になって、彼らが口々に「もう一軒」と言い出した。私は満腹だ。2軒目で5人で普通に8人前コース喰って飲んで、さらにコース外のものも頼みまくって満足しない日本人はそういない。しかし、彼らは物足りないという。酔い足りないという。ノットイナフだという。死ね。
おまけに、1軒目でも2軒目でも赤ワインを何本も空けていた。ま、ホストである私が全部頼んでいるので(私がお金を出すのだから当然だ)、掲載されている中でももっとも安価なワインを上から順に頼んでいるだけなのだが、それでもたっぷり三万円分は飲んでいる。ふざけんなと思ったが、まあここは接待である。保険屋が取り付け騒ぎで殺到した客をさばくのにジュースをたらふく飲ませて帰すようなものだ。解約されて大損するよりは、手ごろな飲み食いをさせて腹いっぱいになれば満足するというわけだ。
それでも彼らの飲みっぷりは常軌を逸している。何とかデザートでやり過ごそうと思ったが、彼らの知ってる人が輸入酒屋のようなエスニック居酒屋のような店を開店しているからそこへ連れて行け坊(私のこと)という。最初、何のことだか分からなかった。話をよく聞いてみると、伝統的な居酒屋でないほうの、エスニックが良いという。ことここに及んで、彼らはワイン、あるいはウィスキー、もしくは輸入ビールを飲みたいという趣旨のことだと理解した瞬間、抱いていた恐怖は諦観に変わった。まだ飲むのか。
仕方がないので、タクシーを二台呼んでもらい、二台に分乗した。タクシーが一台なら、私が助手席に乗って普通に行き先を伝えて充分だろうが、何せ搭載する人物が人物である。ろれつの回らない口調で運転手に指示を出し、タクシーに横転でもされたら目も当てられない。引火したらしばらく燃えてそうだし。
果たして無事に到着したが、彼らの期待していたエスニック酒場は既にラストオーダーの時刻を回っていた。そうすると、普通に居酒屋に入るしかない。幸い秋葉原・御徒町辺りは土地勘があるので手ごろな価格の居酒屋に入った。が、やっぱりというか、大酒飲みズは普通に四人卓に座って黙ってるような酔い方をしていない。仕方なく、一番奥の迷惑にならなさそうな席に誘導してもらった。この店の売りは焼酎だそうだが何か好きな焼酎はあるかと聞くと、「焼酎は好きだが、焼酎の何が好きかと聞かれると返答に困る」という返事だった。私の日本語力が足りなかったのかも知れない。通常は霧島、さつま白波、くろうま、刻の封印など様々な銘柄をピンポイントで頼むのだが、何か好きな銘柄はあるだろうか?と問い直したら、「どれも焼酎であることには変わりないだろう。だったら頼むべきものはただひとつ、焼酎だ」という。
諦めてピュアブルーをボトルで3本ほど頼んだ。
焼酎と私のビールが到着すると、コップが渇く暇もなく次々と飲んでいく。しかも、酒飲みズはロックを入れずにほぼストレートで飲んでゆく。しかも、注文の追加が遅いと私の分のジョッキまでバンバン飲む。次々と焼酎とビールを共に口の中に流し込んでは、まるで今夜が世界の終わりであるかのようにどんどん注文していくのである。
ここで更なる問題が勃発する。いま飲んでいる酒を提供している居酒屋の近くには、ここにいる全員がよく知っている人が通っている大学があるのである。当然、怖れていたように「そういえば三好(仮称)の研究室はこの近くだったな。今すぐコールしろ!!」といった指令が飛ぶのである。とはいえ、もう終電時間を楽勝で回っている。もう帰宅しているに違いない、帰宅していてくれ、と思ったら普通に研究室にいた。これだから研究生は嫌いだ。何と言うか、酒飲みは仲間を呼ぶ。まるでwizardryでいえば瀕死のパーティーに遭遇したグレーターデーモンが仲間を呼ぶようなものだ。しかし、助かったのは三好は明日中にまとめるべき発表資料があるので行けないとのことだったので、酒飲み増援は避けられた。
ちと小便で中座してしまった間に彼らは勝手に頼んだらしく、卓上にありとあらゆる銘柄のボトルが並んでいて泣きそうになった。周囲の客が分からないのをいいことに土佐鶴のCMソングとか歌っているのである。もはや品性という単語がもっとも似つかわしくない集団である。どうやら頼み方も「何か焼酎を持って来い」だったらしく、安い方から順番で登場していた。
いきなり終了のゴングが鳴ったのは「ラストオーダーです」というおずおずとした声が、たどたどしい日本語を駆使する店員の口から発せられた時だった。正直助かったと思った。大酒飲みズは腹をパンパン叩いて「あー飲んだ飲んだ」「東京の居酒屋も少しはうまいな」としか言わない。会計をして、金額を見て顔がひきつりそうになったが、ここは堪忍である。タクシー乗り場まで送る途中、彼らはコンビニに寄り、何をするのかと思ったら、人数分のウコンの力を買った。あんだけ喰って飲んで騒いで、ウコンの力なのかよ! いまさら100mlかよ! 何時間も前から肝臓はフル回転なんだよ!
御徒町の道の真ん中で横に並んで歩く一行の手にはウコンの力。タクシーでの別れ際に「坊。次はうち(山奥の実家)でいいもん喰わしてやるよ。最高の奴をな」と強く肩を叩かれた。いつもは長いと感じてやまなかった始発待ちが、ちょっとだけ、楽な気分になった瞬間だった。
関連
アメリカンデブとの晩餐 – 切込隊長BLOG
2007-01-07 20:15 | 雑記 | §
freemailが今月末で使えなくなるので5時間ほどかけて新しいメールアドレスに移行しました。
新メールアドレスはfreemailのようにサービスを終了したりGmailのようにデータが消えてしまうのが嫌なので、独自ドメイン+自前サーバにしました。
<メリット>
・勝手にサービスを終了することがない
・勝手にサービスの質が悪化したりしない
・メールアドレスを変更する必要がない(ドメインが続く限り)
・いくらでもメールを貯めておける(サーバの容量がある限り)
・サーバにメールを貯めておけば出先でwebから受信できる
・サーバにメールを貯めておけばメーラを移行したいときもデータ変換の手間がない
・サーバの容量がなくなってもデータの整理が自在にできる(古いメールをローカルにバックアップして削除するなどの手が打てる)
・データの不具合などがない(あっても自己責任で済ませられる)
・好きなだけバックアップが取れる
・プロバイダに依存しない
・広告が入ることがない
<デメリット>
・何があっても自己責任
・WEBメールやプロバイダメールに比べて迷惑メールフィルタが貧弱
・メールアドレスとこのブログが紐づいてしまう(hogehoge@yagi.tcというアドレスを見てhttp://yagi.tcにアクセスする人がいるかも)
ついでに使っていないサービスなどは退会・登録削除しました。登録したはずのサービスが既に終了していて移行した先のサービスで再登録しないといけなかったり、移行した先がこれまた終了していて訳の分からないことになっていたり、webで流れる時間の早さを感じますね。
アドレス帳に y******@cocoa.freemail.ne.jp のアドレスを登録されている方がいましたら連絡下さい。新しいアドレスをお伝えします。
関連
Y~: freemailが使えなくなる