[書評]面白ければなんでもあり 発行累計6000万部――とある編集の仕事目録

2016-04-08 22:29 | 書評 | § 0

面白ければなんでもあり 発行累計6000万部――とある編集の仕事目録
三木一馬
KADOKAWA (2015-12-09)
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キャリア15年でヒット作を数多く手がけてきた売れっ子編集者の回顧録。あるいは仕事目録であり仕事術のまとめ本。ライトノベル界を牽引してきた電撃文庫の重要人物だけに、中身は非常に濃い。企画術、創作術、編集術といったノウハウ本として読めるし、創作に関係なくともビジネス本のようにも読める、あるいは一人の編集者の実績カタログでもあり、各作品の裏側を紐解いたファンブックとしても捉えることができる。

第一線でエンタテイメントに関わる人だけに、文章にグイグイ引き寄せる力がある。難しそうな話も平易に砕き、裏話を交えつつ終始興味を引くように作られてあり、著者が如何に優れた編集者であるかが分かる。

構成は何十もあるノウハウの寄せ集めなのだが、全体を通して一貫している点は「加点法でとらえる」という点で、本書中ではこのことが何度も登場する。作家の原稿を読むときも加点法で「いいね!」をたくさん付けていき、良くない点は極力伝えないという方法を採る。伝えない代わりに、良い点をさらに伸ばして書き直してもらうと、自然と良くない点は押し出されて消えてしまうという。

創作をしている人へのメッセージの中にもこの「加点法でとらえる」が出てくる。ネガティブな意見に囚われて創作意欲を無くすことは誰の得にもならない。加点法でとらえ、ネガティブ意見より何百倍、何千倍も多いポジティブな意見(売上や反響)を気にするようにして、作品を待っている人がいることを忘れないようにと語っている。また、日々の暮らしにおいても、メンタルコントロールとして「加点法」を推奨している。

創作の世界の(一ジャンルの)頂点を知る人の言葉は重い。人間業とは思えない作家のエピソードなども登場するので、この本を読んで創作する心を折られる人もいるだろうし、益々創作意欲を燃え上がらせる人もいるだろう。



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