韓国と中国とインドと日本、安全保障の視点から経済を考える

2008年6月3日

最近はBRICsだVISTAだとかで新興国向けの金融商品が増えている。中国株やインド株は日本でも普通に買えるし、ちょっと前までは聞いたこともなかった南ア・ランド建て債券とかブラジルレアル建て債券とかが出回ってるし、ざっくり新興十数カ国を組み入れたエマージングファンドとかも大量に売り出されるようになった。
投資スタイルは人それぞれなのでそういった新興国系の商品にシフトすることをどうこう言うつもりはないのだが、個人的には金融政策も中央銀行の名前すらも知らないような国に投資するのはちょっと気が引ける。いや、断片情報ならネットで調べればある程度分かるのだが、たとえばある日南アフリカの政策金利が上昇したとして、それが在日メディアの経済ニュースで伝えられることはほとんどないんじゃなかろうか。そんな情報の乏しい国にわざわざバクチを打ちに行く気にはならないなあ、というのが正直な感想。
じゃあどこならいいのかというと、やはり情報の厚みがあるアメリカ、EU、英国、中国本土、香港、韓国ぐらいに絞られてしまう。新興国だと中国本土がダントツで、インド、ロシアぐらいまでなら総合的な「面」の情報が期待できる。しかしブラジル、ベトナム、アラブ各国、豪州などになると「点」の情報しか出てこないし、これらと同じぐらいの位置づけのはずのトルコやエジプトなどは国名すら出てこない。エマージング銘柄のリスクの高さは国自体のリスクもさることながら、情報網の整備不足というのもコミコミだったりするのだ。
そんな中、私は最近になって韓国経済が面白そうだなあと思って情報収集を始めたところなのだが、新興国で成長要素が高い割に現在の評価が低く、かつ情報を手に入れやすいということで注目の市場だと思っている。ついこないだ財閥の元社長が大統領についたこともあって、これからの経済政策ではあまり的外れなことをすることもなさそうだ。
しかし、だ。
戦争中だということが最大にして最凶のマイナス要素。
ともかく韓国のリスク要因というとこれを置いて他にない。北朝鮮と再度交戦状態になれば、いくら短期間で収束したとしても金融市場は暴落するだろうし、流動性はしばらく無くなるものと考えて良い。北朝鮮が自然崩壊すれば大量の難民でこれまた経済は混乱するし、何らかの形で統一を果たしても90年代の西ドイツと同じように重荷を背負わされた国家になってしまう。今の繁栄は北朝鮮との間の不自然な均衡の上に成り立っているに過ぎない。言ってしまえば日本も少なからず同じような立場で、有事の際は韓国経済もろとも暴落間違いなしだろうけども。まあ、平和が訪れれば徴兵制を維持する必然性もなくなるので、韓国経済のポテンシャルを押し上げることになるってのがささやかなプラス要素くらいか。
同様に、中国インドも同じような問題を抱えている。中国の主なものは各民族の独立問題、インドはパキスタンとの緊張関係。(再軍備に精を出しているロシアを含めてみんな核保有国というところが興味深い)。みんなこの辺計算に入れて投資してるんだろうか。投資上のリスクは外交上の存在感にかなり影響するところがあるんだけどな。
たとえば日本が金融立国になるとかどうとか話を聞くけれども、世界の中での立ち位置がフラフラしている中でそれは無理というもの。外交上の立場が弱くて常に大国から圧力が掛けられっぱなしの国と取引したり投資したりする気にはならないでしょう。どうなるか知らんけど、立ち位置も微妙で、自由市場かというとそうでもなくて、安全保障もまともにできなくて、それなのに資源や食糧の自給も出来てなくて、政府交渉力もない国がどやってカネを預けてもらえるの? と。
豊かに見える日本もリスク要因をみると新興国を笑えたもんじゃないな。

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