このエントリはタイトル含めて全部嘘です:-p

2006年9月9日

今までそこそこの量の文章を書いてきたが、忘れた頃に自分で読み返してみて「これは本当に面白い!」と思えるものはあまりない。でも今日テキストの山から見つけてきたボツ原稿はちょっとニヤリとしてしまったので無編集でここに公開する。タイムスタンプは2005年10月。「野ブタ。をプロデュース」を読んだ直後の文章だ。
(以下原稿)

Y「ずっと書けなかったことがあるんだ」
X「いきなり何ですか」
Y「このサイトの内容には大量の嘘が含まれてる」
X「何を今さら」
Y「ブログに嘘を書くと言うことを気にする人が多いらしいからな」
X「嘘を嘘と(略 がネットの基本じゃないんですか」
Y「そりゃ匿名の場合だ。内容と書き手の人格が関連づけられると逆に信用問題になるだろう」
X「なるほど。で、なんであえてカミングアウトする気になったんですか」
Y「この本を読んだからよ。人を騙して仮面を被りキャラ作りに専念して嘘を吐き続ける、という誰もが身に覚えのあることをテーマにしているからな」
X「身に覚えがあってびっくりしたんですか」
Y「あらゆるところでな。この主人公とは仲良くなれそうな気がするよ」
X「Yさんは仮面を被ってキャラを作って嘘を吐き続けているんですか」
Y「もちろんだ。隠してることは山ほどあるし、言ったら誰も近づかなくなるようなものだって持ってる。皆の知らないところで何やってるかも明かせないし、いろんな理由でいくらでも嘘を言うさ」
X「つまりYさんは『嘘つき』なんですね」
Y「確かにそうだが、そのへんは問題じゃない。言いたいのは、自分を形作るための嘘ぐらいみんなつくし、本心を隠す仮面ぐらい持ってるだろうってこと。同時にそんな虚像の自分なんて脆いよねってこと」
 
X「そんなこと言ったら誰からも信用されなくなりますよ」
Y「誤解して欲しくない。嘘には許される嘘と許されない嘘があると思ってる。許されない嘘というのは悪意があって人を陥れたり蔑んだりする嘘、敬意や思いやりや愛が一切ない嘘のことだ。そんな嘘はつかないし、ついたとしても信用に関わる。私が嘘をつくのは方便の嘘だよ。相当の理由があれば重大な嘘だってつくし、笑ってすませられる嘘とか嘘だろうが真実だろうが問題じゃない嘘のレベルなら笑いを取ることに使うさ」
X「それでも嘘をつかれるのは気分が悪いですよ」
Y「たとえば『冗談』も嘘のうちに入るとは言えないか? 冗談は嘘だろうが真実だろうが問題じゃないし、会話のやりとりを楽しむのが目的だ。本気で信じさせようとも思ってないし、信じられても困る」
X「そんなもんですかね…」
Y「この本にも挙げられてる。主人公は童貞だが、なんだか分からないうちに周囲の友人たちからは童貞じゃないことになっている。こんなの真実だろうが嘘だろうがたいした問題じゃないし、見えない場所での話だから何とでも言える。この本からじゃないけど『今朝あなたの夢を見ましたよ』なんてのも確認のしようがないし、真実だろうが嘘だろうが関係ない」
X「なるほど」
Y「主人公は言ってる。『言葉が嘘でもホントでも、伝わった結果が真実』。まさにその通りだと思う。むしろ私がまず使いたかった台詞だ。どこか冷めた若い世代にこの考えは多いんじゃないかと直感するが本当のところどうだろう」
X「伝わった結果がどうあれ、言葉には責任を持たないといけないと思いますよ」
Y「もちろん発言したことはどう解釈されようと責任を持たなきゃいけないし、嘘をつくなら相手を見極めてそれなりの覚悟をしないといけない。この主人公はキャラ作りの脆さと『言ったことがすべてだから解釈は勝手にしろ』というスタンスから最後には転落してしまうけど、自分の発言に責任を持った結果だと思う」
 
X「それでも嘘をつくのはよくないと思いますよ」
Y「もちろん嘘なんて誰もつきたくない。でも必要に応じて使われる。私だって頭が優れていれば冗談を言わなくても笑いがとれただろうし、ハッタリかまさなくてもレポートが書けただろう。キャラを作らなくても人付き合いができただろうし、仮面を被らなくても世の中を渡っていけただろう。でも、現実はあいにくそんな完璧人間じゃない。同じように誰もが嘘を必要として、誰もが嘘の恩恵にあずかってるんだよ」
X「私は嘘はつきませんよ」
Y「君はアイドルはトイレに行かないと思うか。行くと思うんなら声を大にしてそう主張しなさい。行かないと思うなら同じように主張しなさい。問題提起してきちんと結論づけなさい」
X「何の意味があるんですか」
Y「嘘を言ったとか言わないとか、利害もからんでないのにそんなことに目くじらたてるのはその程度の問題と同じってことさ。それからもう一つ。みんな嘘を駆使してしゃべってることなんて薄々感じてるし、アイドルがトイレに行くことだって当然のことだと薄々思ってる。でもどちらもあえてそれを言わない。当たり前すぎて問題にするのも無粋なんだよ」
X「嘘かもしれないことでも目をつぶってろ、と?」
Y「そ」
 
X「ところでこのサイトには相当な嘘が含まれてるんですよね」
Y「できれば『脚色』と言って欲しい」
X「なんだ脚色ですか」
Y「事実の捏造でもしてると思ったか? 面白くするためなら脚色ぐらいするが、脚色の範囲を超えると書いてても面白くないからね」
X「どれくらい脚色してるんですか?」
Y「事実10%:脚色90%」
X「ほとんど嘘じゃないですか!」
Y「一例を挙げよう。ある日の朝ラジオ体操をやっていると目の前を黒猫が通りすぎ、朝食を食べようとすると茶碗が割れ、出かけようとすると靴ひもが切れ、学校に行く途中で霊柩車に出会ったが、別に一日なんにも変わったことはなかった」
X「脚色するとどうなるんですか」
Y「ある日、ラジオで火星人が襲ってきたとか言っていたのでタモリを召還してドラゴンに乗り、伝説の剣を振り回して火星人と戦うも勝負が決まらず、最終的に東京フレンドパークで勝負して僅差で勝利し、無事火星に追い返してパジェロで帰宅した」
X「原型とどめてませんよ! はじめのラジオしか合ってないじゃないですか」
Y「はっは。冗談だ」
X「冗談ですか。で、本当のところどれくらいの脚色なんですか?」
Y「いや、このエントリ全部が冗談だ」
X「これ全部嘘ですか!」

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